オリックスが紅林(くればやし)弘太郎内野手(19)の決勝弾で7年ぶりのシーズン勝ち越しを決めた。初回1死一塁で河野のストレートを捉え、左翼5階席へ10号先制弾。球団初の10代の2桁本塁打で先発の山崎福を援護し、1分けを挟む8連勝で首位をがっちり守り、14年以来の年間5割以上確定を導いた。

「(感触は)プロに入ってから一番よかった。めっちゃ気持ちいいです」。衝撃弾から約3時間が経過しても、余韻は格別だった。

これまでの忘れられない1発は、6月3日の阪神との交流戦で同郷静岡の先輩、岩崎から打った決勝の4号2ラン。「しびれる場面で打てました。プロ野球選手になった気持ちがしました」。高校時代は届かなかったあこがれの甲子園で、成長を実感できた。幸せな4号を、10号は上回った。

左太もも裏のケガから気力ではい上がってきた吉田正が、右手首の骨折で再離脱。大黒柱の代わりはいなくても、全員で力を振り絞る。「正尚さん、悔しいと思うので、正尚さんの分までしっかり頑張る」。3番11試合で放った4アーチは、強い思いの結晶だ。

1年前のシーズン終盤。入団時から10キロ以上増量した体重90キロの姿で1軍に加わった。「(今は)まためっちゃでかくなりました。98キロくらい。満腹にならないと眠れなくて。いっぱい食べて気持ちよく眠ります」。優勝争いの重圧も、代役3番の責任も、全部栄養にして大きくなっている。中嶋監督、イチローが21歳シーズンに作った球団の最年少2桁本塁打記録も塗り替えた1発で、優勝にまた1歩前進だ。 【堀まどか】

◆紅林弘太郎(くればやし・こうたろう)2002年(平14)2月7日生まれ、静岡県出身。駿河総合では1年夏から中軸を担い、高校通算40本塁打。19年ドラフト2位でオリックス入団。高卒1年目から5試合に出場し安打、打点を記録した。186センチ、94キロ。右投げ右打ち。

▼高卒2年目の紅林が先制の10号。高卒2年目以内に2桁本塁打は、2年目の19年に36本打った村上(ヤクルト)以来で、パ・リーグでは2年目の15年に17本の森(西武)以来になる。2リーグ制後は19人、25度目だが、オリックスでは初めて。

▼02年2月生まれの紅林は、高卒2年目でも今年はまだ19歳。10代シーズンに2桁本塁打は19年村上以来8人、9度目だ。オリックスで10代の最多本塁打は、50年山下健と54年河野旭輝の6本だった。また球団の最年少2桁本塁打は21歳シーズンで、90年中嶋聡(4年目=12本)と94年イチロー(3年目=13本)。紅林はイチローや中嶋監督を上回り、球団2桁本塁打最年少記録を塗り替えた。

▼オリックスは2日ソフトバンク戦から3試合連続完封勝ち。連続完封勝ちの記録は10年中日と11年日本ハムの5試合だが、オリックスでは71年6月以来9度目の球団タイ記録。

◆パの最短M点灯日 オリックスとロッテはともに最短9日となった。オリックスの場合は6~9日に3連勝し(8日は試合なし)、ロッテ4連敗でM8。ロッテは6~9日に4連勝か3勝1分け、オリックスが3連敗でM11が出る。