オリックスの「ラオウ」杉本裕太郎外野手(30)がリーグ一番乗りで30号に到達した。3回に日本ハム伊藤から中越えへソロ。15年ドラフト10位からはい上がり、30歳シーズンで初めて30発。1点ずつ取り合う接戦を遅咲き男の一撃などで制し、3カード連続で勝ち越した。首位をキープし、敗れた2位ロッテに1・5ゲーム差をつけた。

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体勢は崩されても、力で押し切った。ラオウ杉本が3回2死に一時同点となる今季30号ソロを描いた。日本ハム伊藤の投じた外角152キロ直球を、自慢の怪力でバックスクリーン左に突き刺した。

「入るとは思わなかったんですけど、ファンの皆さんの声援のおかげで入ったと思います!」

コロナ禍で、マスク着用。スタジアムに声援は飛ばないが、歓喜の拍手がラオウの打球を飛ばした。目標の30号に到達。球団では17年のT-岡田以来、日本人右打者では90年石嶺以来31年ぶりの快挙にも、ラオウは満足しない。「まだT-岡田選手の33本に負けているので、その数字に勝てるように頑張ります!」と10年に本塁打王を獲得した際の数字を引っ張り出した。

相手が3歳年上でも、ジョークで押し切る。残り12試合で、あと3本…。「33本を超えたら、Tさんに偉そうに話せることができるので(笑い)。大先輩ですけど…」と表情は明るい。お立ち台でモヤに「今年はモヤよりもたくさんの本塁打を打つ」と春季キャンプ中に宣戦布告していたことをバラされたが「すみません、覚えてないんです」と大爆笑。助っ人相手にも、笑顔で応戦し「まだシーズンは終わっていない。ここからモヤに抜かれないよう頑張ります!」とほっこりさせた。

30歳の今季、主に4番右翼に定着。「ポジション的に外国人選手と戦わないといけない。(モヤとは)同級生でもありますし、良いライバル関係です」と自身の力で居場所をつかんだ。

これで3カード連続勝ち越し。貯金を今季最多タイの15に戻した。2位ロッテとのゲーム差は1・5に開いた。主砲の吉田正が右尺骨骨折で負傷離脱中だが、4番にドッシリ座るラオウが、Vの道を突っ走る。【真柴健】

▽石嶺和彦氏(杉本が、自身の記録した90年37本塁打以来の球団日本人右打者30本塁打に)「左打ちの選手が多くなり、彼のように右のパワーヒッターという存在は貴重で、とても尊い数字。バットコントロールのうまさや手首の使い方など、器用な印象を受けます」