阪神岩田稔は引退セレモニーの最後、「ビッグファミリー」に感謝した。スピーチの途中、家族を思うと涙で言葉を詰まらせた。「抑えた時はニコニコ笑いながら『良かったな』、打たれて負けてヘコんで帰った時も笑顔で『また頑張ったらいいやん』と…救われました」と感謝。「こうやって寒い中、応援に来てくれたファンの方々も僕にとってはみんな『ビッグファミリー』です。本当に感謝しています」と声を張った。

練習前には21番Tシャツを着用したナインと記念撮影。寄せ書きユニホームと色紙を手渡され、目尻を緩ませた。ファーストピッチセレモニーでは捕手を務め、長男・輝大さんのストライク投球に「僕よりいい球。めちゃくちゃクロスファイアでいいボールでした」と、また笑顔。試合後のラストピッチは内角低めに決まったが「垂れた真っすぐでした」と苦笑いだ。

ラストピッチは青柳からボールを受け取り、梅野に投げ込んだ。最後は秋山、大阪桐蔭の後輩でもある藤浪から花束を贈られ、「ウメの成長も見届けながら引退できて良かった。これからの晋太郎も楽しみ」と後輩たちのさらなる飛躍を願った。

〇…岩田稔は今後も全国規模で1型糖尿病の啓発活動を続けていく。大阪桐蔭2年冬に同病を発症。阪神入団後は患者との交流会、病院訪問などに尽力し、「1型糖尿病研究基金」への寄付、「岩田稔基金」創設などで同病根治への道をサポートしてきた。引退セレモニーでは同病患者の子供たちからメッセージが届き「うれしかった」と笑顔。「選手の時は全国を回れなかった。治る病気になるように、全国を回って1型糖尿病の方たちと交流していけたら」と目を輝かせた。