お疲れさま、ツルちゃん-。今季まで日本ハムで選手兼バッテリーコーチとしてプレーした鶴岡慎也捕手(40)が13日、現役引退を発表し、慣れ親しんだ札幌ドームで記者会見に臨んだ。

テスト入団からスタートし、プロ生活19年。「やりきった気持ちでいっぱい」と涙ぐむ場面も。家族、同僚、ファンのほか、長らくバッテリーを組んだダルビッシュ有投手(35=現パドレス)へ、感謝の言葉があふれた。

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19年分の思い出に、涙があふれた。慣れ親しんだ札幌ドームで現役引退を発表した鶴岡は「需要がなくなるまでやると決めていた」と頑固一徹に現役にこだわり、最後は「やりきった気持ちで、いっぱい」と、プロ生活に幕を下ろした。日本ハムから、来季のコーチ専任を打診されて約1カ月半。選手としては来季構想を外れ、現役続行の道を求めて退団したが、他球団からのオファーは届かなかった。「自分自身に『ご苦労さん、よく頑張った』と心から言えます」。鹿児島の「ぼっけもん」らしい、幕引きだった。

2度の入団テスト挑戦をへてプロ入りした苦労人。身長176センチと、体格に恵まれているわけでもない。「体はこんなに小さいですけど、ケガをしなかったことと、40歳まで向上心を持って絶対に負けないという気持ちでやれた」。反骨心で駆け抜けた19年。相手への心遣いと陰の努力で、投手陣の信頼を得た。

「僕のサインにうなずいて、信頼して投げてくれたピッチャーすべてに感謝したい」としたが、中でも、一番の相棒は、長年バッテリーを組んだダルビッシュだろう。「ダルビッシュ投手がいなければ、僕はここまでいなかった」。体当たりでワンバウンドを止める技術は「ダルの球を止めるのが一番の練習だった。成長させてもらった」。現在はメジャーで活躍する右腕に、LINE(ライン)で「今までありがとう」と感謝のメッセージを送ったことを明かし「もう、彼も35歳。アメリカに行きたいな。パドレスとエンゼルスの試合を見に行きたいな」と、ちゃめっ気を見せた。

今後について「いつかはユニホームを着たい思いはある。野球の勉強を続けるのは、一生涯変わらない」と説明。「夢のような時間だった」というプロ生活に別れを告げ、第2の人生を歩き出す。【中島宙恵】