西武の「よくばり君」こと渡部健人内野手(23)が、「おかわり君」からの金言で今季1号弾を放った。7番一塁でスタメン出場。4回2死の第2打席で、バックスクリーン直撃の先制弾を運んだ。実戦13打席目にして初安打初本塁打。先輩の中村からの「タイミングを早くしろ」という助言を受け、結果につなげた。中村、山川との体重100キロ超えの超重量打線結成へ、着実にステップアップしていく。

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ためた分だけ、大きかった。渡部は4回2死走者なしで、2球目の低めの直球をすくい上げるように振り抜いた。伸びる打球はバックスクリーン直撃の125メートル弾。紅白戦合わせて実戦13打席目にして、ようやくとらえた快音に、ベンチでは笑みがはじけた。

「紅白戦含めていい打席ができていなかったので、何とか1本打ちたいなと思って打席に入りました」。山川に促されてどすこいパフォーマンスを披露。打てない不安から解放され、叫び声も大きかった。

2日前の22日の夜、食事会場で金言を授かった。ソフトバンクとの初対外試合を終え途中出場で三ゴロ。凡打続きに「振る勇気というのがあんまりなくて、消極的になってしまっていた」。察したかのように、となりで中村がポツリ。「タイミングをもうちょっと早くしろ」。

詰まった感覚がずっとあっただけに、シンプルなひと言で、打つポイントを前に設定。実行した前日は初スタメンで2打数無安打も、渡部は「早くするようにしてからボールが見えるようになってきた」と好感触を呼び2四球。結果的に勇気を与える金言となり、バットを振り抜けた。

春季キャンプでは、フリー打撃で常に中村、山川と同組。体重100キロを超えるあんこ型のホームラン打者として、これ以上ない「成功モデル」の2人を毎日観察した。「練習でもホームランを打っている。ホームランを打つことが、ホームランを打つための練習。そういうところをマネしていきたい」。2人の大きな背中を目の前で追い続け、充実の2月を過ごしている。

1年目の昨季は4月に公式戦で初本塁打を記録も、その後は2軍暮らしが最後まで続いた。1軍定着をアピールする待望の1発に「1本出てよかったです」と安心はするが満足はしない。3人が並ぶド迫力の超重量打線の完成は間近に迫っている。【栗田成芳】

▽西武辻監督(渡部の先制弾に) しっかり実戦の中で結果を残して、内容を良くしていかないと(レギュラー争いに)食い込んでいけないですよ。そう言う意味では今日は見事なホームランだった