日本ハム伊藤大海投手(24)が、今季初完封勝利を飾った。13日、ソフトバンク7回戦(札幌ドーム)で9回3安打無失点で4勝目。新庄剛志監督(50)が高く評価するスローカーブを効果的に使い、強打者たちを幻惑した。昨年の東京五輪でチームメートだった、相手先発の千賀に投げ勝った。2年目のジンクスに苦しんでいた右腕が、浮上のきっかけとなりそうな、しびれる投手戦をものにした。

    ◇    ◇    ◇

沸き上がる歓声を背に、伊藤は喜びを爆発させた。熱のこもった帽子を脱ぎ、天を仰いだ。9回2死二塁をしのぎ、虎の子の1点を守り切った。「最後の最後にヤマ場でしたけど、何とか気合で投げ切りました」。最終回に挑む前、武田投手コーチから「決着をつけてこい」と粋な声がけで送り出された。気合を入れ直し、リーグトップタイ4勝目を完封勝利で飾った。

好投手に胸を借りて、勝負に徹した。相手先発は昨年の東京五輪でチームメートだったソフトバンク千賀。球界を代表する投手との初の投げ合いに「自分も、そういう選手になりたい。そう学びながら投げていました」と熱っぽく話した。「今日は相手打者とも投手とも、しっかり対決出来ていた。千賀さんに引っ張られて、いい投球になった」。直球も変化球もさえ、ストライク先行のテンポの良さを築いた。

BIGBOSSも認めるスローカーブを効かせた。指揮官は「幅を広げるという意味で投げているんだったら、素晴らしい。続けられるのが一流、超一流のピッチャー」と今後に期待した。柳田、中村晃ら左の強打者ぞろいの打線に、100キロ台のカーブでカウントを有利にした。伊藤は「スライダーあり、カットあり、スプリットあり。すごい選択肢が多い中で投げられた」と手応え十分だった。

直近2試合は通常モーションだったが、この日は2段モーションに戻した。理由は「カッコいいからです」。えくぼを見せて笑った。今季は2年目のジンクスに苦しむ。「昨年の自分の方が好きでした。それを今、思い出すための時間をつくっているのかな」。ガムシャラだった頃から離れ「色気づいてしまった」という自分に、快投でピリオドを打った。【田中彩友美】

日本ハムニュース一覧>>