そら抑えは湯浅よ-。阪神岡田彰布監督(65)が28日、湯浅京己投手(23)を来季守護神での起用する方針であることを明かした。今季「8回の男」として最優秀中継ぎ賞に輝いた右腕は、シーズン終了後から来季の抑え起用を熱望。来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の出場次第で開幕直後は流動的だが、守護神・湯浅の基本方針は揺らがない。

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岡田監督新体制として迎える来季、守護神を湯浅に託す方針だ。今季は「8回の男」として大ブレーク。59試合で防御率1・09と抜群の安定感を示し、45ホールドポイントを挙げ、最優秀中継ぎ賞のタイトルを獲得した。湯浅が抑えを希望していることを報道陣から伝え聞いた指揮官は、「(抑えで)いこうとは思ってるけどな」と明かした。

評論家時代の今季開幕当初までは背番号65の存在を知らなかったという。「俺、湯浅知らんかった。はっきり言うて。名前を知ったのもシーズン入ったくらいやで」。登板を重ねるごとにメキメキと頭角を現した右腕の能力の高さを目の当たりにし、「一番の武器を持っていることやな」と奪三振率「10・40」の高さを誇る力を評価。150キロ超の直球と決め球のフォークを軸に打者に向かうスタイルは抑えとしての素質があると認めた。

ただ、開幕直後の守護神は流動的な起用となりそうだ。湯浅は来春のWBC本大会のメンバーに入る可能性があるだけに、指揮官は「最初はそら使えんと思うよ」と説明。滑りやすいとされる大会公式球を使用することから、「1カ月違うボール投げて、『はい、すぐに投げなさい』言うてもなかなか投げれんぞ」と話した。

湯浅の他のクローザー候補は、今季3セーブ、5ホールドを挙げたケラーや、新外国人として球団が獲得に乗り出しているジェレミー・ビーズリー投手(27=前パイレーツ3A)らが挙がる。湯浅がWBC出場となれば、代役守護神は助っ人右腕を中心に起用する流れになりそうだ。

また、岡田監督は“ネクスト湯浅”の出現にも期待を寄せた。指揮官は、来季のブレーク候補について「見た限りではいない」と厳しく指摘。「基本的には守りの野球やから、ピッチャーがしっかりしてないとなかなか野球が成り立たん」と、若手投手の奮起を促した。まずは来季のストッパーは湯浅。盤石リレーの最終走者は決まった。【古財稜明】

 

◆阪神の勝利の方程式候補 抑えは湯浅を筆頭に、来季2年目のケラー、新外国人候補のビーズリーら。今季主に守護神を務め、チーム最多28セーブを挙げた岩崎は岡田監督がすでに来季はセットアッパーとして起用する方針を明言している。勝ちパターンについて指揮官は「5人くらい」と説明。現時点で他には今季21ホールドの浜地を筆頭に、加治屋、渡辺雄、石井らが挙げる。中でも「(1、2点差で)負けている時に、どれだけ辛抱できるピッチャーを作れるかどうか」を重要視している。

 

<阪神の主な歴代守護神>

◆山本和行 1年目から救援でも活躍し、82年に自己最多の26セーブを記録。85年には2年目の中西とともにダブルストッパーとして日本一に貢献した。球団左腕では最多の通算130セーブを挙げた。

◆中西清起 入団2年目の85年に11勝19セーブをマークし最優秀救援投手賞を獲得。10月16日ヤクルト戦では胴上げ投手にもなり、球団唯一の日本一に貢献。

◆藤川球児 06年途中から抑えを務め、「火の玉ストレート」で打者を圧倒。ジェフ・ウィリアムス、久保田智之とともに「JFK」の一角として抜群の安定感を誇った。07年の46セーブはセ・リーグ最多タイ。通算243セーブは歴代4位で球団最多。

◆呉昇桓 来日1年目の14年に39セーブでセーブ王。CSでは6連投でMVPを獲得し、2位からの日本シリーズ進出に導いた。15年も41セーブで2年連続セーブ王。「石直球」と呼ばれた150キロ超のストレートでインパクトを残した。

◆ラファエル・ドリス 来日2年目の17年から本格的にクローザーとなり、37セーブで最多セーブを獲得。自慢の快速球は、当時球団最速の161キロを計測した。4年間で挙げた96セーブは球団外国人通算最多。

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