西武古市尊捕手(20)が吉報を受けたのは18日、B班がキャンプを行う高知・春野でのことだった。古巣の徳島インディゴソックスとの練習試合後だった。

「率直に『あ、チャンスだな』と思いました」

A班キャンプに参加中の中熊が右ひじに軽い違和感があり、スローイングの強度を落としている。実戦が始まる段階。背番号125を付ける育成捕手の古市がA班に招集された。

高知から福岡で飛行機を乗り継ぎ、A班がキャンプを行う宮崎・南郷へ。「ずっと緊張してました。半面、ワクワクな気持ちも多かったんですけど」。松井監督や平石ヘッドコーチらから激励され、自身としては初の“1軍”練習に参加した。

平石ヘッドからは「自分をアピールしようと思うんじゃなく、今までしてきたことを気負わずに出すことがアピール」と言葉をもらった。その通り、緊張を顔に出すこともなく、無我夢中で1日を終えた。

二塁送球1・9秒の強肩がアピールポイントながら、1年目のキャンプで「レベルの差を痛感しました」という。それだけに「まさかこんなに早くチャンスが来るとは思っていなかったです」と気持ちも高まる。

A班に合流し間もなく、実戦の日々に入る。入団2年目、初の1軍。まだ投球を受けたことのない投手も多く「そこはちょっと不安も」とこぼしつつ「失うものはないんで」と、締める言葉は頼もしい。

森が抜け、確固たる正捕手はまだいない。争いの最中、背番号3ケタの男が伏兵となれるか。

「だいぶチャンスなので。このままつかんで、開幕1軍を取りたいですね」

野球人生を変える戦いが始まる。【金子真仁】