マリンにこだまする「た・い・が」コールを一身に浴びた。ロッテ平沢大河内野手(25)は1点を追う8回2死一塁、楽天西口の149キロを捉えた。打球は右翼ポール際へ。値千金の逆転1号2ランに「めちゃくちゃうれしい。真っすぐを狙った。迷いはなかったです」と目を輝かせた。

合流即日の決勝弾だ。6日の日本ハム戦で右足を肉離れした荻野に代わって昇格。サブロー2軍監督から「このチャンス、ものにしろよ」と送り出された。ところが1打席目は併殺。2打席目は満塁で二ゴロに倒れた。それでも、4打席目は来た。「あそこで僕を立たせてくれた。何とか応えようと思いました」。

本音を言えば開幕1軍に入りたかった。オープン戦打率だって2割8分あった。吉井監督は「開幕1軍も考えた。でもメンバー構成上、大河は入れなかった」と苦心したことを明かす。チーム事情に阻まれた。

甲子園のスターとしてドラフト1位で入団してから、はや8年目。遊撃手で入り、今季も遊撃レギュラーを狙っている。一方で出場機会を求めて、18年からは慣れない外野に挑戦した。「出られればどこでも。どこでも守れるようにする」。右肘手術も乗り越えた。この日は「9番右翼」。苦労は実る。

1軍公式戦でのアーチは19年5月25日のソフトバンク戦以来、1414日ぶりだった。チームは4連勝で今季初の貯金1。荻野の離脱は、痛手には違いない。「何とかチャンスに変えられるように。もっともっと頑張りたい」。代役では終わらない。【鎌田良美】

▼ロッテ平沢が19年5月25日ソフトバンク戦(ZOZOマリン)以来、通算8本目の本塁打。逆転2ランで勝利打点をマークした。平沢の殊勲安打は過去11本あり、内訳は先制2本、同点6本(本塁打1本含む)、勝ち越し3本。逆転打も勝利打点付きのVアーチもプロ入り初めてとなった。

◆ロッテ小島(白星は付かなかったが、6回2安打1失点と好投)「反省の多い投球内容となってしまいましたが、味方がいい形で点を取ってくれて、いい守りで助けてもらいました」

◆ロッテ岡(2回の先制1号ソロなど2安打1打点)「とにかく先制点がほしかったので、初球から積極的に振った結果ホームランになってよかったです」