ソフトバンクのドラフト2位大津亮介投手(24)が、日刊スポーツの単独インタビューに応じた。1年目の今季は開幕1軍入りし、ここまで26試合登板で1勝0敗10ホールド、防御率2・78。盤石なリリーフ陣の一角を担っている。18日阪神戦でのプロ初勝利は、新人では史上2人目となる「1球勝利」だった。ピンチでこそ燃える右腕が、勝利の方程式入りへ意気込みを明かした。【聞き手=只松憲】
-今季は中継ぎで26試合に投げ、防御率は2・78。18日の阪神戦では1球でプロ初勝利を挙げた
大津 振り返れば防御率はもっと下げられたなって思います。21試合は無失点でしたが、3試合で複数失点をしてしまったので。
-6月4日の広島戦では、1点差の6回1死満塁で0封リリーフ
大津 同じく1点差の6回2死一、三塁で登板した5月12日のオリックス戦と、広島戦の満塁は燃えました。そこまで僕は燃えることはあまりなくて。内側で闘争心は持っているんですけど、あの日は闘争心を全面に出しました。
-ワンポイントが多い
大津 プロ入り前はワンポイントの経験が全くなかったです。でも自分はランナーが埋まっている状態の時に燃えるんだなと思いました。フォアボールも出せない状況。でもこの場面で自分が使ってもらっていることの意図を考えて、制球力を買われてるのかなと。
-独特な難しさがある
大津 インコースに攻めないといけないですけど、当ててはいけないので。コントロールやゾーンへの出し入れは難しい。1球の後悔もあります。
-徐々に緊迫した場面での起用が増えた
大津 開幕時よりは投げる場面が確実に緊迫した場面だなと思います。でも自分の中ではもう1つ信頼を得ないといけない。今年は勝ちパターンに入りたいと思っています。7、8、9回はすごい方々がいるので、まずは6回。今年はそこのポジショニングを確立できたらいいなと思います。
-6月10日の巨人戦では1回2失点。ベンチで涙もあった
大津 あの時は悔しくて、いろいろと。ベンチで斉藤和巳コーチから「次、切り替えていこうやって」話をしてもらって。その話が終わってから感情が出てしまいました。ベンチで怒られるとかはないです。慰めとか、プラスになることを言ってくれます。
-多彩な変化球が持ち味。手応えは
大津 ないですね。自分が投げたいボールを投げられていない。最近はそういうことばかりです。甲斐さんのリードに僕が応えられていない。まだ自分は投げたいボールを投げられていないことが多いです。
-プロ入り後に確立したルーティンはあるか
大津 最近は「ドライブライン・ベースボール」(※)の練習を始めました。試合前に重さの違うボールを投げることで、体にキレが出る。重さの変化に対しての投球リリースを確認したりしてます。軽くやってる感じですが自分的にはしっくりきています。誰かに勧められたとかはなくて、自分でやってみたいなと思って。
-リーグ戦再開に向けた意気込みを
大津 5月まではいい形でこれましたが、6月はちょっと苦い期間でした。これから気持ちの切り替えをして、リーグ戦再開後もチームに貢献出来るように頑張ります。
◆大津亮介(おおつ・りょうすけ)1999年(平11)1月13日生まれ、福岡県出身。九産大九州-帝京大-日本製鉄鹿島を経て22年ドラフト2位でソフトバンク入団。サッカー日本代表のDF冨安健洋(24=アーセナル)は九産大九州時代の同級生。体重63キロは今季のNPB投手で最軽量。入寮の際は地元の福岡・志免町(しめまち)のゆるキャラ「シメッチャ」のぬいぐるみを持参した。背番号26。175センチ。右投げ左打ち。
◆ドライブライン・ベースボール 米国のシアトルやフェニックスにある最先端のトレーニング施設。ハイスピードカメラによる動作解析などを導入し、個々のデータに合わせた科学的なアプローチで選手のパフォーマンスを向上させてきた。米大リーグではエンゼルス大谷やパドレス・ダルビッシュも利用。大谷は腕を振るスピードやリリース角度を計測できる「パルス」と呼ばれるバンドを右腕につけ、肘に負担がかかりにくいフォーム作りに役立てた。
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【取材後記】
大津がインタビュー中に最も流ちょうになったのは「理想の先発像はいますか?」という問いに対してだった。「何人もいますよ。楽天の岸さんだったり、DeNAの大貫さんだったり、元日本ハムの金子千尋さんだったり。自分と似たスタイルの方に憧れています。大好きでした」。自身も技巧派と呼ばれるピッチャー。特に大貫は日本製鉄鹿島の5期上の先輩にあたる。過去には投球論などを交わした経験があり、改めて「本当に好きですね」と語った。
大津の憧れる先輩たちは、先発で実績を残した。「僕の夢」と話す先発転向は、中継ぎで結果を出した先にある。夢をかなえ、大津も将来の技巧派選手の憧れになってほしい。【只松憲】