西武の愛斗外野手(26)がシーズン途中に、1つの決断をした。

この日、初回が打者一巡の猛攻になり、愛斗は満塁本塁打と2ランを放った。イースタン・リーグでの1イニング2本塁打は、91年5月1日の鈴木健選手以来32年ぶり2人目のこと。

ただ、4月は1軍で1番打者を任され、結果を出してきた。2軍での大記録にさほど興味はない。

「2打席目は3-1の有利カウントで高め真っすぐを左中間に弾けて、完璧だったなと思います。この感じで打てたらいいなというのが出たのが良かったです」

初回だけで2本塁打というという結果より、自身で満足できる質を喜んだ。

本人は「小学生みたいなこと言うんすけど…バットが強く振れてます」と笑う。確かに、豪快に振り抜くバットがなぜかいつもより長く見えた。「勘違いかもしれませんが…」と尋ねた。

愛斗は「変えました。長くなりました。長くしました」と答えた。

ずっと指1本、短く持って打っていた。それを、グリップに小指をかけるように変えた。18日の日曜日から。

「短く持ってて、ボールは見えてたんすけど、バットがそこに出てこない。自分が思っているよりバットが上に出てきたので。短く持つと遠心力が使えないじゃないですか。長く持って遠心力使ったらちょうどそこに来たんで、あ、いまは長く持った方がいいのかなと」

短く持つことにこだわりがあった。「1年間、ずっと続けられるように」と春先に話した。そのスタイルを変えた。そう決めた。

「そうっすね、ぶれたくはなかったっすけど、でも、そのままずっとやってても同じ結果なので。人に言われて変えるんじゃなくて、自分の意志で変えたので。長く持っていこうと思ってやったことなので」

長く持ち始めた18日に1安打、20日には途中出場で2安打し、この日は初回からいきなり2発。「これだな、と」とつかんだ様子だ。

この日も試合終了の右飛は、フェンスにぶつかりながら好捕する愛斗のスーパープレーだった。守備は抜群、あとは打つのみ。規定上、リーグ戦再開の23日には1軍に再昇格することができた。今回は同じ外野手の、ドラフト1位蛭間が昇格する。愛斗は汗を流しながら、待つ。

「もう、大丈夫です。あとは待つだけです。結果を残して待つ、その繰り返しです」

試合で打って、試合後も外で打って、室内で打って、家でも映像を見て-。潔く変化を決断した愛斗が、待っている。【金子真仁】

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