西武豆田泰志投手(20)が、3年目のプロ初登板で内容抜群の快投を披露した。0-5の8回に4番手で登板。先頭の辰己を2ボールから146キロ直球で左飛に打ち取った。続く炭谷は初球カーブで、1ボールから146キロ直球で左飛。9番西川にはスライダー、フォークを交えて追い込むと、最後は147キロ直球で空振り三振に仕留めた。

テンポがよく、投げっぷりが抜群だった。マウンドに上がると、ブルペン担当の青木投手コーチの助言を思い出した。「入る時に1回球場全体見てから、マウンドに入るというのをやってみて。そうしたらちょっと気持ち的にも楽になったので、やっておいてよかった」。緊張から解き放たれ、ノーワインドアップからガンガンと直球を投げ込んだ。

173センチと小柄な体から放たれる伸びのある球は、バットの上っ面に当たった。2つのフライに三振を奪った直球。「2ボールから発進したのはちょっと悪かったんですけど、自分の真っすぐを投げようというのは試合中も試合前も考えていた。自分の真っすぐを投げられたので、打ち取れたのはよかったかな」。持ち味を存分に見せつけた。

5回に走塁妨害がありながら得点が認められず、試合後は渋い表情だった松井稼頭央監督も、豆田の話題になると、思わず笑顔になった。「良かったねえ。素晴らしかったね。投げっぷりも含めてボールもそうですけど、見事だったと思います。緊張していたか分からないですけど、堂々としていたと思うし。元々真っすぐの質は良かった投手。それにあのカーブと緩急を含められるとね。148キロ以上に感じました」と絶賛の言葉が次々とあふれ出た。

浦和実(埼玉)から育成選手として入団し3年目を迎え、シーズン中の登録期限ぎりぎりの21日に支配下登録を勝ち取った。2軍では26試合で防御率2・43と好成績を残していただけに、昇格できない焦りがあった。ようやく迎えた1軍初登板で、最高の結果を出した。「いいスタートも切れた。けど、これからというのもあるので、自分自身まだまだだと思います」と引き締めながらも、全身に充実感をにじませていた。地元埼玉からニューヒーロー誕生の予感だ。【斎藤直樹】

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