オリックス中嶋聡監督(54)が、「今どき」の選手たちとともに歴史を変えた。優勝マジック「2」で迎えた20日の2位ロッテとの直接対決を制し、オリックスとして初のリーグ3連覇を成し遂げた。

「がんばろうKOBE」を合言葉にリーグ2連覇を達成した95、96年を超える快挙。田口壮外野守備走塁コーチ(53)は、中嶋監督らとともに当時と今を知る1人。「今どきの選手は緊張していないのかなと思う。見ていて、淡々とこなせる強さがある」。95年はプロ4年目と若手だった田口コーチ。阪神・淡路大震災で傷ついた町、人を勇気づけようと仰木監督のもと、イチローらとともに必死に頂点を目指した。

「当時は、僕は若かったので、がむしゃらにいった思いがあって、連覇した時は冷静さもあった。熱さと冷静さを両方持っていた。よく声も出していたし。今の子は、燃えてないわけじゃないけど、落ち着いているなあと」。

かつてのようにベンチから「オラー!」という、いかつい声は聞こえない。ともすればライバルになる味方を、活躍すれば心からの笑顔で喜ぶ今のオリックスの選手たち。「不思議なチームです。仲いいなあって。でも彼らにとっては、それがいい方向にいっているかもしれないですね」。少し不思議そうに首をかしげながらも、のびのびとプレーする姿に目を細める。3連覇を成し遂げたチームの強みは「みんなで勝てるところ」。田口コーチは1軍の選手だけを指しているわけではない。「ベンチにいるメンバーだけじゃなく、ファームも含めて、いる選手全部で勝てるような気がする」。それが「不思議な」強さにつながっているのかもしれない。

「今どき」の選手たちも、燃えていないわけではない。「話をしてみると、内心はめちゃめちゃ燃えている。中身はすごいガッツがあるという感じはしますよ。『出せよ』って言いますけど『出ないんですよ~』って(笑い)」。淡々と、仲が良く、そして熱い選手たち。まとめたのは他でもない中嶋監督だ。

「仰木さんもそうだったけど、めちゃくちゃ考えてますね。今日どうするか、明日、明後日、1カ月どうなるか。もっと先も見ている」。中嶋監督について田口コーチは「完全にキャッチャーです」と断言する。当時は試合後、コーチに呼ばれ「あの打席の何球目は?」と聞かれることが当たり前。記憶する癖も、考える癖も自然と身についている。

「仰木監督も先まで読んでいましたね」。27年前と選手も、空気も違う。それでも変わらず、受け継がれているものもあるはずだ。【磯綾乃】