西武佐藤龍世内野手(26)が本拠地最終戦でヒーローになった。

同点の8回、決勝の適時三塁打を放った。

試合開始5時間くらい前から、いつも室内練習場にいた。大好きなヒップホップをかけながら、黙々と打つ。とことん1人で打っていたり、山野辺や愛斗と交互に打っていたり。とにかく、いつもいた。

今のところ出場はないが、今季は第3捕手としても構想された。三塁守備には課題がある。痛いエラーを何度もした。「ほんとに期待していただいているのも伝わってきますし、それに応えられない自分が情けない」と自分にとことん厳しかった。

守備練習に集中する分、打撃練習の時間は自分で捻出した。だから、5時間前には黙々と打っている。

毎日ではないけれど、週に1~2回は見に行った。夏場。気のせいかもしれないけれど、ちょっとだけ構える時の顔の位置が上がった気がした。

「あー、でも、どんどん僕悪くなると(重心が)沈んでいっちゃうので。それは試行錯誤して、沈み気味になってたら力が入らなくなるので、一番力が入るポジションを確かめながら」

量をこなすだけでなく、試行錯誤しながら、毎日毎日。ある日、試合終わりが夜10時近くなった。「少しだけ打ちます」と言い、また室内練習場へ行った。翌日はデーゲームなのに。

帰り際、試しに室内練習場をのぞいてみた。打っていた。しかも扇風機もつけずに。見ているだけで汗がとめどなく噴き出る環境で、ずっと打ち込んだ。終電に乗ることを選んだ私は、最後まで見届けていない。

翌日の午前中、聞いた。

「昨日は11時半くらいですかね、帰ったの。扇風機つけるのもめんどくさいし集中して打ってました」

過去に不祥事もあった。いまだにネット上では厳しい声もある。でも佐藤龍世は人知れず努力を続けて、自分の居場所をつかもうとしている。【金子真仁】

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