阪神の38年ぶりの日本一は、7月18日に脳腫瘍のため28歳の若さで亡くなったOB横田慎太郎さんにささげるものだった。9月14日にリーグ優勝を決めた時と同様に、胴上げされた守護神・岩崎優投手(32)の手には背番号24、横田さんのユニホームが握られていた。京セラドーム大阪の中心で3度、再び一緒に宙に舞った。

横田さんと13年ドラフト同期の岩崎は、9月14日にだけ登場曲は「横田の思いも背負ってお願いしました」と、現役時代に盟友が使ったゆずの「栄光の架橋」を選んだ。リリーフカーに乗ってマウンドに向かう岩崎の背中を大合唱が押し、虎党で語られるシーンとなった。日本一を決めたこの日も「24」はチームに同行し、ともに戦った。

7月25日に追悼試合を開催。「僕と梅(梅野)とザキ(岩崎)と同期で、人一倍そういう思いを背負ってやっていきたい」と語っていた岩貞祐太投手(32)が好救援し、最後は岩崎が締めた。梅野隆太郎捕手(32)もフル出場し、同期3人が力を合わせて白星を届けた。岩崎がマウンド上でウイニングボールを天に掲げ、ナインは横田さんの名前を呼び合っていた。

リーグ優勝時、梅野は左尺骨骨折で離脱中だった。試合後、横田さんのユニホームを持って歓喜の輪に向かい、岩崎に手渡した。「ヨコの着てたユニホームを持って、あのグラウンドにみんなで立てたのは本当に最高なこと。あいつへの思いっていうのは人一倍自分も強いんで、本当によかった」と感慨深げに話していた。2軍調整を続け、今シリーズで出場資格を持つ40人に入り、第6戦で初めてベンチ入り。この日はベンチを外れた岩貞もシリーズは2試合を投げた。

横田さんとともに同期3人、そしてナインは再び歓喜の瞬間を味わった。

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