西武の納会ゴルフが24日、埼玉・飯能市の武蔵丘ゴルフコースで行われた。お招きいただいて西武担当記者も参加(潜入?)した晴天下、黒田将矢投手(19)、育成の菅井信也投手(20)と、未来のエース候補2人も同組だった。彼らと過ごして見えたものは。秋の6時間半をリポートする。

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松井稼頭央監督(48)が念入りにパター練習する傍らで、黒田が同組の私たち3人を集めた。

「皆さん、今日は楽しく行きましょう。くれぐれも他の人や組に迷惑をかけないように」

よく分からないけれど風紀委員長風に仕切りだした。持ちネタで、どうしてもやりたかったらしい。

最初のホール、私が一番にティーショットを打つことになった。

「流れ、作って下さい。僕たちのスコアにもかかってくるので」

19歳にあおられ、てんぷらショットを打ち上げて、ラウンドが始まった。

青森出身の最速157キロ右腕、何かと攻める黒田。山形出身で育成契約の技巧派左腕、冷静な菅井。同い年、同じ東北出身でも個性は違う。

共通点は、同い年で150キロ中盤を誇る大型左腕の羽田慎之介投手(19)への強いライバル心があること。この日もホール1つが終わるたびに、オンラインで羽田のスコアを確認し一喜一憂していた。

2人ともラウンドは2度目とか3度目とか、それくらいだそう。当然、空振りもミスショットもある。同じ組の浅香広輝S&Cコーチ(34)が「はいはい、そういうの、試合でもあるからね~」とちゃちゃを入れる。割と和やかな組で、逆に言えば緊張感は少なく、4人ともそれぞれに打数がかさんでいく。

黒田はドライバーショットがゴロになりやすい。本人いわく「フォークボールです」。右打ちの黒田は、ボールを左足よりも前(打球の進行方向)に置いている。

言った方がいいかな…と迷った。年の差、倍以上。「教え魔」とか思われたくないし…。

そのあたり、普段から人間関係の深いチームメートはやっぱり強い。「ボール、もう少し後ろに置きな」と後続組の金子侑司外野手(33)がさらっとアドバイス。するとナイスショット。本業でもスタッフからグラブの上げ方を指摘されたことも1つの要素となり、球速を150キロ台中盤にまで一気に伸ばした。そういうタイプなのだろう。

菅井は左打ちで“どスライス”する。右45度~50度を向いて振って、フェアウエー真ん中…という衝撃の一打もあった。曲がり幅を計算し、打てる場所に落とすのがすごい。

パターの距離感覚も抜群だった。ゆったりしたフォームで、フェニックスリーグでは阪神1軍打線を6回1失点に封じた。それだけに、バンカーから出なくて3連続でせっかちスイングになるのが意外だった。荒い声も出した。ファンからよく言われる「穏やか」「優しそう」だけじゃない一面ものぞかせ、逆に楽しみが増した。

昼食時はコーラフロート(ビッグサイズ)を黒田が率先して頼み、周囲もなんとなくドリンクを頼んだ。そんな流れを作る人。菅井は3人がカレーライスで一致したところ、1人だけ肉汁うどんを頼んだ。そんな意思の強い人。

宇宙人キャラとされ、この日は土星柄のトレーナーで登場し「親に無理やり連れられてきた子どもみたい」と周囲に言われた羽田も含め、三者三様だ。

今は20歳世代の彼ら若獅子3人がそのまま、10年後には先発3本柱になっていることが期待されている。ゴルフは3人合計で477打、振りまくった。

参加した137人の最下位になった黒田は「一番多くスイングできたということで」と捉え、129位の菅井は「プロゴルファーってスコア、どれくらいですか? ゴルフでいつか70とか80とか出してみたいです」と前向きなのがいい。

この日は3人で477打、10年後は3人で47勝-。なんて夢も膨らむ。ラウンドの会食で、コーラをお酌している彼らの姿も印象的だった。【金子真仁】