被災地を勇気づける-。楽天ドラフト8位の青野拓海内野手(18=氷見)ら新人8選手が6日、仙台市内の泉犬鷲寮に入寮した。富山・氷見市出身の青野は、1日の能登半島地震で被災し、避難所となった同校で一夜を過ごした。避難所で野球部の先輩と再会。2人で行ったキャッチボールでの使用球を入寮時に持参した。故郷への思いを胸に、プロの舞台での飛躍を誓った。

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能登半島地震で被災した故郷へ、杜(もり)の都から思いをはせた。青野は新幹線を乗り継ぎ、プロ生活をスタートさせる仙台に入った。「無事に入寮できて今はホッとしています。富山が心配なんですけど、自分は頑張るしかないので、ここで頑張りたい」。入寮延期の選択肢もあった。だが、両親から「あっちの方がまだ安全」と見送られ、予定通りにやってきた。

地元の氷見市は1日、最大震度5強を記録した。自宅に大きな被害はなかったが、市内の道路は地割れし、断水が続いた。震災発生時は自宅近くにある祖父母の家で就寝中だったが、今までに体験したことがない激しい揺れで飛び起き、家族とともに避難所となった氷見高に移動。2日朝までの一晩を過ごした。

避難所では、元気づけられた。高校の1学年先輩だった名城大・河原新之助捕手(1年)が、体がなまらないようにと心配してくれ、同校の室内練習場でキャッチボールの相手を務めてくれた。避難している人々からも「入団おめでとう」「体を鍛えて頑張って」などと温かい声をかけられた。「より一層頑張りたいという気持ちが強くなりました」。

思い入れのあるものとして、先輩とのキャッチボールで使った硬式球を持ち込んだ。10日からは新人合同自主トレが始まる。「地元の氷見だけでなく、石川県はもっとひどい状態にあると思う。その方々に何か勇気とか、そういったものを自分が届けられるように頑張りたい」。北陸、富山を元気に-。昨秋のドラフト会議では、支配下選手で最後に指名された。故郷への思いを力に、プロの世界で一歩ずつ前に進んでいく。【山田愛斗】

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