プロでも自己流で腕を磨く。西武ドラフト2位の上田大河投手(22=大商大)が14日、埼玉・所沢市内の球団施設で行われている新人合同自主トレで、初めてブルペン入りした。学生時代から「憧れない」を信条とする右腕は、ドジャース大谷翔平投手(29)が昨年3月のWBC決勝前のミーティングで発した名言「憧れるのをやめましょう」と同じマインドを持ちながら、プロの世界で自分の道を切り開いていく。

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上田は自分を信じ、自己流を貫いてきた。「高校、大学の時も(誰かを)目指すとか目標の選手がいなかった。誰かを目標にと決めてしまうと、そこで止まってしまうので。自分をぶらさずに憧れないように」をモットーとする。昨年WBCで世界一に貢献した大谷の名言として有名となった「憧れるのをやめましょう」。ルーキー右腕はそのフレーズと同じ気持ちをすでに持ちながらプレーする。

この日の初ブルペンから「憧れるのをやめている」上田らしさが見える場面があった。捕手を立たせて「20球くらい」と腕を振った。最速154キロの本格派右腕だが、目立ったのが「スプリット」。人さし指と中指で挟んで打者の手元で落ちるボールで、大学3年頃までは一般的に握りが深いと言われる「フォーク」を投げていた。だが、「コントロールが良くなかった」と自ら研究し、握りを変更。プロの投手の握りを参考にするアマチュア投手も多いが、「自分の感覚が一番大事」と参考資料を持たなかった。その結果、らせん(ジャイロ)回転しながら、落差を生む、今の武器にたどり着いた。

入寮から1週間。「充実した生活を送らせていただいている」と環境にも慣れてきた。15日は合同自主トレ第2クール最終日を迎える。「自分の持ってる力を全て出して、出し惜しみせずに、真剣勝負で使っていきたい。ルーキーなのでしっかり見せていかないと。積極的にどんどん勝負したい」。必要以上に周りを気にすることなく、アピールしていく。【山崎純一】

◆「憧れるのをやめましょう」 昨年3月のWBC決勝米国戦の試合前、ロッカールームで行った円陣で声出し役を務めた大谷が口にした。「僕から一個だけ。憧れるのをやめましょう。野球をやっていたら誰しも聞いたことがあるような選手たちがいると思う。憧れてしまっては超えられないので、僕らは今日超えるために、トップになるために来たので。今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう」と語り、侍ジャパンを盛り上げた。新語・流行語大賞にもノミネートするなど、多くの人の記憶に刻まれる言葉となった。

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