ノリに乗っていた2年前の感覚に、近づいてきた。オープン戦初戦のDeNA戦で、いきなりフル出場した日本ハム松本剛は「打席の内容自体は、すごく良い物が出ました」と満足げだ。1回の第1打席で左前打すると、1点を先制した直後の5回無死二、三塁では、DeNAウィックのナックルカーブを中前適時打。新庄監督は「首位打者を取った時のバッティングフォーム、形、打球でしたね。変化球を引きつけて、ちょい詰まりながらセンター前に持っていって。一番いい打球。ランナーも、すごく(本塁に)かえりやすい」と、3割4分7厘で初の首位打者に輝いた22年の姿に重ねた。

打席に立つ際「トップの位置、構えがしっくりこなくて悩んでいた」という昨年。夏ごろになって、首位打者を獲得したシーズンの映像を解禁した。ヒットを量産した自身の打撃フォームを見つめ直し、取り戻す作業に没頭した。「僕は構えを大事にしている。構えが“はまる”と言いますか…」。1度は失いかけていた感覚だったが、今年は「『おっ』と思える打席が増えている」と、自信を深めている。

25日に最終日を迎える沖縄・名護キャンプでは、コンディション優先で練習に集中した。まだ、レギュラーは当確しておらず「結果を出すしかない。結果をとことん出そう」と必死だ。対外試合では3試合連続で2番に起用され、とりわけ、この日のように「スティーブンソンを1番に置くなら余計アリ」と、打線が機能している実感がある。新庄監督は「2番松本剛」に「何でも出来ますからね。理想は理想」と、うなずいた。

パ・リーグで複数回、首位打者を獲得した右打者は、86年のロッテ落合博満を最後にいない。“北のヒットメーカー”の称号を再び手にし、令和の伝説になる。【中島宙恵】

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