国技館から徒歩1分で大相撲ファンになじみの有名商業施設が、悲痛な叫びを訴えた。JR両国駅に隣接する「-両国-江戸NOREN」の三好昇副所長は「7月場所でお客さんを入れると決まった時の期待とは、大きくかけ離れている」と肩を落とす。緊急事態宣言が解除された6月から一部店舗を再開させたが、前年の同時期に比べて客入りは2、3割にとどまっている。7月場所が始まっても、打ち出し後に訪れる観客はめっきり減った。

館内にある12店の飲食店のうち、4店はまだ再開していない。陸奥親方(元大関霧島)が手がける「ちゃんこ霧島」は、同施設内の店舗を休業中。もともと夏場は客足が遠のく上に「大人数で鍋をつつくのは感染予防の観点でいうと厳しいものがある」と同副所長。ちゃんこ鍋店は特に厳しい実情がある。

一方で7月の名古屋場所、11月の九州場所が東京開催となった。例年にない売り上げが見込まれ、わずかな“追い風”となるが、吉田秀久所長は「名古屋と九州の方には申し訳ない。大相撲だけでなく、早く日常が戻ってほしい」と、複雑な表情を浮かべた。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)