大和魂貫いた豪栄道、背中から落ち「終わったなと」

  • 引退会見で笑顔を見せる元大関豪栄道の武隈親方(撮影・鈴木正人)
  • 関ノ戸親方(左)から花束を受け取る元大関豪栄道の武隈親方(撮影・鈴木正人)

大相撲で引退した元大関豪栄道の武隈親方(33=境川)が29日、東京・両国国技館で会見を行った。初場所を自身9度目のかど番で迎え、5勝10敗と負け越して関脇陥落が決定。10勝すれば大関復帰となるご当地の春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)での奮起も期待されたが、燃え尽きた。土俵上で「大和魂」を貫いた男が、心境を語った。今後は境川部屋で後進の指導に当たる。

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元豪栄道、武隈親方に後悔はない。「数年前から、大関から落ちたら引退しようと決めていた。気力が尽きた。自分で決めたこと。自分で1つ決めたこともやり遂げられないのかと」。地元大阪での奮起も期待されたが、自分にウソはつけなかった。

初場所12日目に新関脇の朝乃山に敗れて負け越しが決定。その夜、師匠の境川親方(元小結両国)と話し合い、決断した。それでも「相撲人生の集大成を」と皆勤を決意。千秋楽は平幕の阿武咲に、右差し左上手と万全な体勢から、下手投げで豪快に投げられて背中から落ちた。「絶好の体勢であんな投げられ方して負けたことはなかった。完璧に終わったなと思った」とすがすがしい表情を見せた。

左膝の半月板損傷や両肩の剥離骨折など、ケガに苦しみながら戦い続けた15年。昨年九州場所は左足首の靱帯(じんたい)を損傷して途中休場。一時は歩行も困難だったが「土俵に立つということは、自分のその時の最高の状態。言い訳は何1つない」。初場所での影響については、口にしなかった。

14年名古屋場所後に行われた大関昇進の伝達式で「大和魂を貫いてまいります」と口上を述べた。あらためて真意を問われると「我慢強く。潔くという意味。自分の中では貫けた」と胸を張った。同席した境川親方から「弱音を決して吐かない、ど根性は誰よりも持っていた男」とほめられると、表情が和らいだ。

すでにスーツやネクタイを新調。「肩がパンパン」と恥ずかしそうに笑う姿が初々しい。断髪式は来年初場所後を予定。今後は境川部屋付き親方として後進の指導にあたる。「横綱に上がれなかったので横綱を育てたい」。ここからまた、第2の相撲人生が始まる。【佐々木隆史】

▽八角理事長(元横綱北勝海) 大関として5年務めたのは立派だ。今場所は負け越した後も精いっぱい務めていた。苦しかったとは思うが大関として責任を全うした。