歌舞伎俳優中村獅童(44)が18日に初期の肺腺がんであることを公表しました。直後に市川海老蔵(40)がブログを更新し、「かなしかった。最初に聞いたとき、自分のことのように」とつづり、その日の夜には出演中の歌舞伎座に報道陣が集まり、関係者が海老蔵の意向を聞くと、「いいよ」と1分ほどの短い時間でしたが、取材に応じました。獅童とは電話で話したそうで、「歌舞伎界にとっても大事な人物。彼も前向きで、『復帰して舞台に立とうね』と話した」と明かしました。

 今回のことであらためて分かったのが、獅童と海老蔵の仲の良さです。昨年6月、海老蔵が妻小林麻央さんの乳がんを公表した時にも、獅童は取材に応じ、「協力できることがあれば、全面的に協力したい。仲間ですから」と話していました。

 同じ歌舞伎俳優ですが、海老蔵は市川宗家の御曹司で、将来の団十郎を約束されています。一方の獅童は父親が幼いころに歌舞伎俳優を廃業したため、若い頃は役に恵まれない不遇の時代を過ごしています。その中で4歳の年の差はあるものの、2人は幼なじみとして、兄弟のような気心の知れた関係を続けていました。海老蔵が自主公演で「勧進帳」の弁慶をやると、獅童は相手役の富樫を演じ、六本木歌舞伎で宮藤官九郎の新作に一緒に取り組むなど、同志といってもいい絆で結ばれています。

 それを証明するように、海老蔵のブログへの獅童の登場回数は歌舞伎俳優の中でも断トツです。楽屋で化粧をしようとする姿や、サウナでセミヌード姿などの写真を掲載しています。一緒に食事するのはもちろん、仲良く大相撲を観戦した姿を撮られたりしています。そして、海老蔵と麻央さんの結婚披露宴の時に誰よりも酔っぱらっていたのが獅童でした。親友の結婚がよほどうれしかったのでしょう。獅童が再婚した時の披露宴では、海老蔵はブログで「泣いちゃった」と明かし、「素敵な夫婦の門出に立ち会うことができ幸せでした」と感慨深くつづっていました。

 本来なら、7月の歌舞伎座公演で共演する予定だっただけに、海老蔵は「必ず元気になって、ともに舞台に立つと、友と強く約束しました」と早い回復を願っています。復帰の時期は体調を見ながら、医師と相談して決めるそうですが、順調に行けば、秋には獅童と海老蔵の共演舞台が見られるでしょう。【林尚之】