宝塚歌劇団月組の次期トップに決まった珠城(たまき)りょうが19日、大阪・梅田芸術劇場から、全国ツアー初主演となる月組公演「ミュージカル『激情』-ホセとカルメン-」と「ショー『Apasionado(アパショナード)!!3』」をスタートさせた。

 カーテンコールでは「お芝居もショーも、熱く濃い作品となっております。最後まで熱く、熱く、駆け抜けたいと思います」とあいさつ。

 もともと「とことんキザってみせる“ザ・男役”が好き」と言う珠城にとって、本望の熱いステージ。2回目のアンコールにこたえて顔を出した際には、客席総立ちの拍手で迎えられ、しばし言葉に詰まり「えー」を何度も繰り返し、感無量の表情だった。

 「激情」は、99年に姿月あさと、花總まりの宙組で初演。10年には柚希礼音、夢咲ねねの星組でも再演されている。172センチの長身と恵まれた体格を武器に「男らしい男役」を目指す珠城には、昨年5月に退団した“レジェンド”柚希礼音(ゆずき・れおん)のような「王道の男役」として、期待が高まる。

 今ツアーの芝居では、トップ娘役の愛希(まなき)れいか演じるカルメンに翻弄(ほんろう)され、身を落とす青年を情熱的に演じ、ショーでは約束通り「熱く」弾け、ラテンの踊りを披露した。

 月組は9月4日付でトップ龍真咲(りゅう・まさき)の退団が決まっており、今ツアー開幕4日前に珠城の次期昇格が発表された。

 8年半でのトップ就任は、6年半の天海祐希に次ぐスピード昇格。08年の入団以来、月組一筋の「月の御曹司」にとって、次期トップへの“前祝い”のようなタイミングでの全国ツアーとなった。

 これまで、宝塚バウホールでの主演経験はあるが、別箱(本拠地作以外)での首都圏公演の主演さえ経験がなく、初めて御曹司が大海へ飛び出す今ツアー。今回は、御曹司を支えるように、トップ娘役4年目に入る愛希が男を惑わす役柄の設定通りに引っ張った。珠城と愛希は新人公演時代にもコンビを組んでおり、気心の知れた間柄。

 今春、5年目に入ったばかりの暁千星(あかつき・ちせい)は、ヒロインに横恋慕する花形闘牛士を演じ、ソロ歌唱の場面もあった。ツアーは4月17日の福岡市民会館まで全国16カ所を回る。