宝塚歌劇団星組トップスター紅(くれない)ゆずる主演の「ミュージカル『ベルリン、わが愛』」「ブーケ・ド・タカラヅカ」が29日、兵庫・宝塚大劇場で初日を迎えた。

 紅は、芝居では戦争の影と戦うドイツの映画マンを演じ、見事なスーツの着こなしで魅了。宝塚レビュー90周年記念作を兼ねたショーは、新生星組のショー第1作となり、クラシカルなレビューで、伝統の継承をアピールした。

 コスチュームに頼らない立ち姿。男役16年のキャリアを生かして、難しいスーツ物芝居の幕を開けた。

 紅は主人公を「レトロなかっこよさ、様式美…。厚みのある男性。セピア系が似合い、芯が燃えている男」と、とらえ、役作りをしてきた。

 今作はオリジナル。ナチス台頭前のドイツ・ベルリンを舞台に、戦争の影と闘いながら、映画制作に情熱を傾ける男を描く。人気スター礼真琴(れい・まこと)が、紅の相棒作家を好演。礼と同期の瀬央ゆりあは、紅に抜てきされる映画俳優を体当たりで演じ、紅の相手娘役・綺咲愛里(きさき・あいり)は、苦悩を抱えたヒロインにふんした。

 紅が新生星組を率いてから本拠地2作目。前作は1本物「スカーレット・ピンパーネル」だったため、ショーは今回が、新生星組の第1作となった。

 劇団が日本最初のレビュー「モン・パリ」を上演してから90年。今回はその記念作で、作・演出のベテラン酒井澄夫氏は「中詰め以降は昭和、20世紀の宝塚を思い出して構成した」と説明。伝統的な男役スタイルの紅をはじめ、クラシカルなムード満載のショーとなった。

 酒井氏は今作けいこにあたり、紅に星組誕生時の公演プログラムを渡し、ナンバーには元星組トップ鳳蘭の代表作のひとつで、自身が手がけた名曲「セ・マニフィーク」も加えた。

 大先輩からの“バトン”を受けた紅は「今までの宝塚の歴史を学び、星組の伝統を受け継ぐ」との覚悟で、今作を突っ走っていく。

 宝塚大劇場公演は11月6日まで。東京宝塚劇場は11月24日~12月24日。