妻夫木聡(38)と豊川悦司(57)がダブル主演する映画「パラダイス・ネクスト」(7月27日公開)のジャパンプレミア試写会が26日、都内で行われた。

全編台湾ロケの、人間の生死の意味を問う作。妻夫木は立ち上げ段階から携わったが、予算やロケなどで苦難の連続だったという。公開を迎え「うれしいですね。監督とお酒飲みながら、脚本の話をしたり、プロデューサーがどうとか、お金が集まらないとか。何とか日本で立ち上げようとしたけど、苦しいということで台湾に持って行ったら、トントン拍子にいったんです。なんか夢みたい」と感無量の表情だった。

妻夫木がボートに乗るラストシーンでは、命の危険にさらされた。豊川が「すごい波だったんですよ。台風の後だったんで」と回想すると、妻夫木も「死ななくて良かった。(戻って)ボートを引っ張ったら、ボートが波にのまれていて、ロープからとれて、なくなっちゃった」と恐怖体験を明かした。

監督と撮影監督、プロデューサー以外は、ほぼ現地のスタッフ。妻夫木は「4日目くらいに、演出部4人が辞めちゃったんです」と衝撃の裏話も披露した。半野喜弘監督が「ビシッと言った方がいい、とプロデューサーに言われた」ため注意をしたところ、演出部全員が辞めたという。妻夫木は「そんな現場なかなかない。大丈夫かな、と思っていたけど、何食わぬ顔で撮影が続行していた」と苦笑い。急きょ、通訳が演出部の仕事を担当するなど、窮地を乗り切った。

脚本、音楽も担当した半野監督も「20回くらい、頓挫しかかった」「2人が役を受けてくれたとき、1円のお金も集まってなかった」「2人に1カ月スケジュール空けてもらったのを、お金集まらなくて飛ばして。業界的にはダメだ、くらいのことをやったんですけど、お2人も事務所も続けようと言ってくれた」と、苦労談のオンパレード。完成を「奇跡的だなと思ってます」と振り返った。

そんな作品のオファーを2つ返事で受けたという豊川。理由について「こういう企画、最近全然なかった。台湾で撮っていること、ブッキーが音頭取っていることも含め、やりたいなと思った」と説明した。妻夫木と豊川は、台湾ロケで2日に1回は食事をしたといい、妻夫木は豊川について「お兄ちゃんのように甘えさせてくれる存在。今回いっぱい甘えさせていただいて」。豊川も「僕もブッキーが大好き。女だったら恋してると思います」と、強い絆も見せた。