日本テレビが26日、東京・汐留の同局で、社長定例会見を行った。

3月12日に、同局系「スッキリ」(月~金曜午前8時)でアイヌ民族への不適切な表現を放送したことについて、検証番組を放送することを、編成担当の福田博之常務取締役が明かした。

福田常務は「8月26日木曜日に不適切な差別的発言を放送してしまいました、『スッキリ』の枠内で、放送いたします。検証している中身の部分につきましては、CMを流す予定はございません。また、翌々日になりますが、28日の土曜日深夜、26時30分から(日曜午前2時半)からほぼ同様の内容の特別番組を放送いたします。今回の検証をこの場でさせていただきたいと思います」と放送日程を示した。北海道地区の札幌テレビでは、29日深夜2時05分から、日本テレビが制作した特別番組を放送する予定だという。

内容については、「アイヌ民族のみなさまに改めておわびをすること、それから、なぜこういった差別表現を放送してしまったのかということ。それから、それを招いてしまった制作体制チェック体制の至らなかったところの観点から検証いたします。アイヌ民族の歴史や差別の現状も取材して放送する予定にしております」。

また、同件を契機として「まず学びが足りなかったという部分におきまして研修を繰り返し行うということで、5月からいろいろな形で研修を実施しております。アイヌ民族の歴史、文化をテーマにした全社員・スタッフを対象にしたものですとか、報道局が独自に取材をしまして、系列の札幌テレビでアイヌ民族の方々を長く取材してこられた解説委員、記者の方からたくさん学ぶことができております」と研修体制を強化したことを説明。

さらに「こうしたアイヌ問題のみならず人権問題についての研修を繰り返し行って、番組制作にあたる人間がそういった認識を深めていくことを務めとしてやっていきます」と人権意識を高めるための施策を実施しているとした。継続的にプログラムを行っていくという。

また、番組のチェック体制について「情報制作局の局内に生放送の情報番組で準備していますVTRについて、事前に可能な限り、これは直前に上がってくるものもありますので厳密にいうと100%というのは難しいのかもしれないですけども、可能な限り深夜でも第三者の視点でチェックできる体制を既に構築しております。これは番組担当者以外にもチェック専門に関わる人間ということになってまいります」。

さらに「コンプライアンス推進室の方に人権担当者を置きまして、こういった問題の各番組からの相談を受ける窓口として、既に6月から機能しております。そのほかできることはすべてやっていきたいと思っております。お気づきの点がありましたらご指摘願いたいと思います」と補足した。「スッキリ」以外の生放送情報番組について同じ措置をとる。

問題となったのは、動画配信サービスの作品紹介コーナー。番組マスコットキャラクターの着ぐるみを着た、お笑い芸人脳みそ夫(41)が、アイヌ女性のドキュメンタリー作品「Future is MINE-アイヌ、私の声-」を紹介した際に差別的な言い回しを含む謎かけを行った。

同件については、放送倫理・番組向上機構(BPO)が放送倫理違反があったという判断を下した。