NHK大河ドラマ「青天を衝け」で伊藤博文を演じる俳優山崎育三郎(35)が、このほどオンラインで取材会を行った。役への意気込み、渋沢栄一を演じる主演吉沢亮(27)の魅力を語った。

明治維新後、伊藤は栄一の上司となり、貨幣制度の改革に取り組む。26日放送の第28回では、栄一との出会いのシーンを演じる。

昨年は連続テレビ小説「エール」に出演。キャストによる特別企画で同年のNHK紅白歌合戦にも出演し「素晴らしい経験をさせていただいた」と感謝する。ミュージカル出身でもあり「大河に出ることはミュージカルでいう帝国劇場のようなもので、憧れのステージ。朝ドラの翌年に大河に出演できるのは大きな喜びでした」とかみしめる。

やがて初代内閣総理大臣になる男を演じ「難しそうな人の懐に入っていくのがうまい。一見すごくまじめそうな伊藤博文をイメージするけれど、すごく泥くさく男くさくて、感情で動いてしまう人。演じていて魅力的です」と話す。

伊藤は長州藩の留学生として井上馨らとイギリス留学を経験。山崎自身も高校時代は1年間アメリカに留学し「2000人の生徒の中で僕だけアジア人という環境。異国の地で孤独を感じた時間も多かった。伊藤さんは“長州ファイブ”として留学するけれど、当時彼が見た外国の姿はカルチャーショックだったと思う」と経験を重ね合わせる。自身は「海外で性格も変わったし、孤独や差別的なことを受けた体験が感覚として僕の中にある。役をやる上で留学経験は少なからずリンクできた部分はある」と役にも生きている。

6月6日の初登場シーンは全編英語で「当時の英語で、単語単語が難しかった。芝居している感覚がないくらい苦労しました」。長州弁のイントネーションにも難しさを感じているが「音楽をやっているので、音をメロディーとしてとらえるのは得意。音をメロディーのように取っていくところから始めています」と話す。「音は絶対外さないぞ、と体に入れて表現したい」と笑顔を見せた。

吉沢とは過去に映画で共演。「その時は好青年で、若くて、きれいな美青年という印象」と笑いつつ「久しぶりにお会いしたら、渋沢栄一にしか見えない」と、その存在感に驚いたという。自身も吉沢も男4人兄弟の中で育ったという共通点があり「僕もミュージカルをやったり、朝ドラで『プリンスです』とかやっていたから中性的に見られるけど(笑い)、男っぽさの相性が合う」という。吉沢の素顔についても「本当の彼の心に根性があって、本来は渋沢的なものを持ってたんじゃないかと。男が見てもかっこいい」と語った。

伊藤が栄一に興味を抱くシーンでは、お互いの息が合ったと感じている。山崎は「付き合いは長いわけじゃないけれど、感覚としてお互いを信頼してぶつけ合えた。根本的な男っぽさをお互いに持っている気がして、やっていて気持ちがいいですね」と話している。