コロナ禍で2年前、戦後初の6月入学式となった宝塚音楽学校(兵庫県宝塚市)の108期生38人が14日、初めて宝塚バウホールで卒業式に臨んだ。当初は3日予定だったが、卒業公演にあたる文化祭が2週間遅れての開催になり、前日13日まで3日間の日程で終了。タカラジェンヌの卵は当初より11日遅れてはばたき、代表者がコメントした。

 

今年の成績上位4人は全員が娘役志望。首席の岩永佳那子さん(東京都武蔵野市)は「踊り、歌、どんな芸事にも芝居心を忘れない、内面が豊かな舞台人になりたい」と言い、目標の先輩には元花組娘役の桜一花と、現宙組トップ娘役潤花をあげた。

コロナ禍で夏休みを一部削って、歌、芝居、踊りの2年の学びを修了するなど、予科、本科ともに揺れた。岩永さんは、感染対策を実施した上で、授業を続けられたことに感謝。「この幸せな場所に存在できることをありがたく」思ったといい、「時間を無駄にしないようにお稽古に励むことが、感謝の気持ちを表すこと」ととらえて励んだ日々を振り返った。

広島市出身の岡原ゆづきさんは「当たり前が当たり前ではなくなってしまったこの生活だからこそ、日常のすべてが宝物だった」と学校生活への思いを吐露。コロナ禍での入学だったことから「この状況だったからこそ(周囲に支えられ)好きなことに打ち込める幸せを強く感じることができた」と感謝し、今後の精進を誓った。

娘役志望ながら、目標とする先輩に5月に月組から星組へ移る人気スター暁千星をあげた山本菜南子(堺市)は「(暁のように)歌、踊りなど何でもできる舞台上に上で輝ける舞台人になりたい」。10年前、98期生首席卒業の先輩の背を追い、歩む決意を語った。

また、トップ娘役として宙組から花組へ移り、活躍する星風まどかを目標に掲げた岡村美佑(名古屋市)は「初めてあこがれの宝塚音楽学校の校歌を同期生とともに歌わせていただいたときの感動は忘れられません」と、初心を胸に刻み巣立った。

音楽学校の卒業生は通常、卒業式を午前に終え、同日午後に劇団で入団式に臨み、芸名を名乗るが、今年の入団式は後日になる。108期生は4月23日開幕の星組公演で初舞台、ラインダンスを披露する予定。