安田記念は東京のマイル適性がものを言う。水島晴之「G1の鍵 その一瞬」は、昨年4着ガイアフォース(牡5、杉山晴)に注目した。ワンターンで向正面が長く、直線も525・9メートルあるこの舞台は、スピード、瞬発力だけでは通用しない。持久力も必要だ。息の長い末脚が持ち味の同馬にはベストの条件。骨折で一頓挫あったが、仕上がり次第で大駆けがある。

22日、長岡騎手を背に坂路を単走で追い切るガイアフォース
22日、長岡騎手を背に坂路を単走で追い切るガイアフォース

ガイアフォースには「隠れギア」がある。それを公にしたのが、昨年のマイラーズCだ。中団から馬群を割るように伸び、シュネルマイスターの首差2着。上がりも自己最速の33秒2をマークし、これまでにない瞬発力を発揮した。続く安田記念も4着ながら、ゴール前はソングライン、シュネルマイスターと差のない勝負に持ち込み、マイル適性の高さを示した。

もともとセントライト記念(芝2200メートル)の勝ち馬で、小倉の国東特別では2000メートル1分56秒8のレコード勝ちがある。父キタサンブラック、母父クロフネという血統からも中距離馬の印象が強く、先行してしぶとく粘り込むタイプと見ていた。しかし、距離を詰め、中団から差す競馬をしたことで、もう1段上のギアを引き出せた。

だが、マイルならどこの競馬場でもいいというわけではない。500キロの大型馬で跳びも大きく、中山のようなトリッキーなコースでは持ち味は生きない。初ダートのフェブラリーSでも、2着争いを制したのは最後の100メートル。他馬の脚色が鈍ってから加速、というより止まらずに伸びる。この持久力が「隠れギア」の正体。直線の長い東京向きの理由だ。

エンジンのかかりが遅くスローの「よーい、ドン」では厳しいが、ウインカーネリアン、ドーブネの先導なら前半1000メートル58秒前後で、極端に遅くなることは考えにくい。平均以上の瞬発力勝負は望むところ。あとは骨折休養明けの影響がどう出るか。そこは最終追い切りの動きをチェックして判断したい。

【ここが鍵】スピード持続プラス瞬発力

昨年、連覇を達成したソングラインは東京マイルでG1・3勝を含む通算【5 1 0 1】の好成績を残した。左回りや速い流れが脚質に合っていたのだろう。また、19年の覇者インディチャンプも、4回走って1、1、3、4着と崩れていない。ワンターンでコーナーが大きく、スピードが落ちない。脚をためるのが難しく、そこにコース適性の差が出る。過去3年の前半1000メートル、後半600メートルのラップを見ると、

23年=57秒6、33秒8

22年=58秒7、33秒6

21年=57秒8、33秒9

ハイペースで流れながら上がりも33秒台を記録している。それだけタフなレースであり、スピードの持続力+瞬発力が要求される。

■ウインカーネリアン条件合う

ウインカーネリアンは東京マイルで【1 1 0 1】だが、昨年の東京新聞杯を勝ち、同じ左回りで直線の長い新潟では谷川岳S、関屋記念を制している。昨年の安田記念は8着だが、ソングラインとはわずか0秒7差。この条件は合う。前走の高松宮記念は初の1200メートルでも見せ場たっぷりの4着。7歳馬だが衰えるどころか、今がピークの印象だ。今回は得意の1600メートルに戻り前進が見込める。

■レッドモンレーヴ東京でこそ

京王杯SC2着のレッドモンレーヴは、東京の長い直線でこそのタイプだ。前走は1400メートルで出負けしたこともあり最後方に控えたが、大外から32秒2の脚で差し込んできた。昨年の安田記念は6着だが、それ以外の東京マイルは連対を外したことがなく【2 2 0 1】と適性は高い。この1年で多くの経験を積み、パワーアップ。脚質的に展開に左右されるが、はまれば突き抜ける脚はある。