森保監督のメッセージは危険すぎるね。日本協会は18、19日にA代表とU-24代表(以下五輪代表)のメンバーを発表した。8人もA代表に初選出し、五輪代表には17歳DF中野(鳥栖U-18)を飛び級で抜てきした。一件、フレッシュな人選で、将来へ希望が持てるラインアップのように見える。
ここで冷静に考えてみよう。A代表のW杯アジア最終予選は9月から始まる。東京五輪は7月に開幕する。はたして今の森保監督の人選基準で、新戦力が生き残る可能性はあるだろうか。サバイバルを強調し、選手のやる気を引き起こそうとするが、FW大迫(ブレーメン)やMF久保(ヘタフェ)ら不調続きの海外組を呼んだ時点で、監督から選手へのメッセージは、ハッキリしてしまった。
今回の代表人選の骨子は、国内組の好調な選手が穴埋めで使われたということだ。コロナ禍で欧州組の中には呼べる選手と呼べない選手がいた。新戦力は、呼べない選手の代わりにすぎないんじゃないのかな。出場時間も限られるだろうし、五輪本番、W杯最終予選には生き残れないのではないか。
代表は、実績のある選手の集う親睦団体じゃない。好調な選手を集めて、生き残りをかけて相手を倒しにいく、シビアな世界なんだよ。五輪代表が14カ月ぶりに再始動するが、その間、久保は何をしたの? ただビリャレアルとヘタフェの練習に参加しただけなんじゃないの? 1年半も前の実績で代表に呼ばれるほど、五輪代表のハードルは低いのかな。
大迫だってそうだよ。代表に呼ばれない間に、彼は所属クラブで僕が知らない何かを残したのかな? 今シーズン彼は1点でも入れているの? 彼に一昨年の動きを期待するのは甘すぎるね。格下のモンゴル戦で点を入れてバンザイしてほしいのかな? 今現在、Jリーグで得点を重ねる大久保(C大阪)を呼んだ方がよっぽどましだね。
かつての日本リーグ時代、日本代表の強化のため、三菱や読売など各チームは代表クラスの選手をドイツやブラジルなどのクラブに練習参加させて経験を積ませた時期があった。国内でリーグ戦が実施されているのに、海外クラブの練習参加で得るものが大きいと判断した。でも、それで伸びた選手はいない。
サッカーは生き物だよ。1試合1試合が勝負なんだよ。今の森保監督のスタンスは、欧州組なら誰でもOKじゃないのか。それじゃ、Jリーグの存在意義は薄れるし、だれもが条件などを考慮せずに海外へと急ぐことになる。それでまた欧州クラブの練習生が増えると、日本代表にとって幸せなのかな。メンバー構成は、監督が選手に送る大事なメッセージなんだ。これを軽視してほしくないね。
コロナ禍で試合開催が難しい中、可能な限りのいいチームが来てくれるのに、残念でならない。日本サッカーの緊急事態だね。五輪代表のアルゼンチン戦2試合とA代表の韓国戦は6人交代で、多くの選手に出番が回るはず。好調なJリーグ勢が、わずかなチャンスを生かして意地を見せてほしい。森保監督を驚かせてほしいね。それでこそ、日本サッカー界が緊急事態から解放されるんじゃないのかな。(日刊スポーツ評論家)




