20年東京五輪を目指すサッカーU-21(21歳以下)日本代表が、インドネシアで行われているアジア大会に参加している。A代表を兼任する森保一監督(50)に率いられ、他国のほとんどが2学年上のU-23世代で参加する中で決勝進出を果たした。国内外でリーグとの兼ね合いで招集に制約もある中で勝ち進み、ライバル韓国との決勝を控える。

大会中の8月22日、インドネシアでは「犠牲祭」が行われた。イスラム教の用語でイドゥルアドハー、またはレバラン・ハッジ(聖地メッカ巡礼の代替)とも呼ばれるお祭りで、宗教上の祝日になる。町中では「神・アッラーへのささげもの」として、牛やヤギが人々の手で解体されていた。

チームが練習した場所でも、ピッチのすぐ脇で解体が行われた。数人が牛、ヤギの皮をはぎ、集まった人々は皮はいで運ばれてきた胴体を手にした小さなおので思い思いに切断する。これから犠牲になる牛は、なにかを感じたような鳴き声を響かせていた。幼い子供は、おのを手に笑って駆け回っている。切り分けられたされた肉は、人々に配られた。このことが、貧しい人々に施すというイスラム教義としての重要な行為だという。

なにも事情を知らない日本人にとっては文化の違いに衝撃を受ける光景だった。ウオーミングアップをする選手が解体に目を向ける場面もあった。「さっきまで(生きて)立っていたのに…」。練習を終えた選手からはそんな声も聞こえた。

現地のイスラム教の人々にとっては、自分たちの手で生きた動物を殺し、神にささげて祈ることで自分たちにも施される恵みに、あらためてありがたみを感じる1日。日本にはない、感謝の形を見た日だった。流通が整備された日本では、普段何げなく口にしている肉ができあがる過程を目にすることはない。選手もまた、自分の日常にありがたみを感じたことだろう。【岡崎悠利】

(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆岡崎悠利(おかざき・ゆうり) 1991年(平3)4月30日、茨城県つくば市生まれ。青学大から14年に入社。16年秋までラグビーとバレーボールを取材し、現在はサッカーでおもに浦和、東京V、アンダー世代を担当