柏レイソルのハードワーカーが戻ってきた。昨年9月27日の横浜F・マリノス戦で左脛腓骨(ひこつ)骨折で長期離脱していたMF戸嶋祥郎(25)が、29日の横浜FC戦で、復帰後初のフル出場で攻守に躍動した。

プロ生活をスタートさせたJ2アルビレックス新潟時代から、90分走り続けるスタミナと球際で負けない姿が光っていた。昨季、柏に加入し、これから…という時に試合中のアクシデントで離脱。復帰したのは今年の6月の浦和レッズ戦と長いけがとの戦いになった。ネルシーニョ監督によると複雑骨折だったという。

8月25日の徳島ヴォルティス戦でも先発し、64分間プレーした。試合を終え、ネルシーニョ監督は戸嶋と1対1で話す機会を設けた。指揮官は戸嶋の最たる特長である球際に触れ「ボールにチャレンジすることができていない」と課題を挙げた。続けて「すべての力を出し切ってくれ。60分でも70分でもいいから出し切ってほしい。それがいつか100%になる時が来るから」とはっぱをかけた。

戸嶋は指揮官の言葉をこう振り返る。「90分通して戦える選手が出るべきだと思いますが、ある意味チャンスを与えてくださったのを感じた。そのチャンスがいつまでも続くと思っていなかったので、少しでも求めるプレーができればと」。背水の陣の覚悟で先発のピッチに立った。

高い位置で相手にプレスをかけ、攻撃面でも先制点につながるボレーシュートでアシストを記録。攻守両面で存在感を発揮し、90分戦い抜いた。戸嶋は「後がないとより引き締めて入った結果。まだまだではありますが、理想に近いプレーが増えてきたかなと」と手応えを口にした。ネルシーニョ監督も「見事に100%で90分戦い抜いてくれて、かつ、ゲームの中でキーになる働きをしてくれた。いい意味で期待を裏切ってくれた。非常に素晴らしい出来だった」とたたえた。

それでも、戸嶋はさらに向上心を掲げる。「80分あたりで足が止まったので…。流れもあって何とかという感じだった。他の選手が僕の空けた穴をカバーしてくれたのもあって、みんなに助けられた。逆に、みんなを助けて90分出られれば」。プレーでも人柄でも信頼される戸嶋の完全復活はチームを上昇気流に乗せそうだ。【岩田千代巳】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)