サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」のMF川澄奈穂美(29=INAC神戸)が、6月6日(日本時間7日)開幕の女子W杯カナダ大会での2連覇を誓った。26日、国際大会のアルガルベ杯(3月4日開幕・ポルトガル)に向けて成田空港から出発。11年W杯ドイツ大会優勝、翌年のロンドン五輪銀メダルに貢献したヒロインは、開幕まで100日と迫ったW杯に向けて思いの丈を語った。

 笑みを浮かべた川澄が、軽く会釈しながら成田空港の出発ゲートをくぐった。控えの立場だった4年前とは違い、主力としてW杯の前哨戦と位置付けられるアルガルベ杯に臨む。熱い思いを明かして飛び立った。

 「女子サッカーを、まだまだよくしたい。まず一番にできることは、選手として結果を残し続けること。日本が世界の強豪国と言われ続けることが恩返し。だから今回のアルガルベ杯も優勝したいし、カナダでも絶対にW杯をとりにいかないといけない」

 なでしこジャパンは11年ドイツ大会で初優勝し、東日本大震災に見舞われた日本に勇気や元気を与えた。川澄はW杯初先発となった準決勝スウェーデン戦で2ゴール。「おしゃれ番長」などと呼ばれ、サッカー以上に特技のネイルアートや料理の腕前などの話題が先行した時もあった。今、当時はうれしさと戸惑いが交錯した、と打ち明ける。

 「みなさんが目を向けてくれたことは本当にうれしいし、励みになりますし、もっと頑張りたいという気持ちにさせてくれます。でも、正直、もっとサッカーのことを聞いてほしいっていうのはありました。サッカーで結果を残していくには、それだけの練習をしているんだぞって。でもそういうのも含めて、盛り上げていただけるのならと。そこは割り切って、はいどうぞって感じでした。それからいろいろな出会いもありましたし、私の成長にもつながったと思います」

 4年前から、多くの経験をへてたくましさを増した。12年のロンドン五輪では銀メダルを獲得した。翌シーズンはINAC神戸でリーグ3連覇に貢献。昨年は米シアトル・レインに期限付き移籍して20試合9得点と、新たな挑戦で結果を出した。澤と並ぶ、なでしこの顔になった。

 「W杯カナダ大会が終着点ではない。16年リオ五輪も違う。20年の東京五輪で引退するとかいうのも考えたことはない。どこまで続くか分からない。W杯、五輪は次々とやってくる。一歩一歩、次々と進んでいきたい。サッカーが大好きな気持ちも、ますます大きくなっています」

 W杯開幕まであと100日。「(11年)ドイツの時は、優勝することは夢のまた夢だった。でもそれが自信になり、手中に収めたい目標に変わった。だからこそ1日もムダにできる時間はないんだなと焦りすら出てきます」。4年前のシンデレラは、カナダでも殊勲のゴールで光り輝くことを思い描いている。【鎌田直秀】

 ◆女子W杯カナダ大会 6月6日から7月5日まで開催される。1次リーグは4カ国ずつ6組に分かれて総当たりで行われ、上位2カ国と、3位の成績上位4カ国が決勝トーナメントに進出する。日本は1次リーグC組でスイス、カメルーン、エクアドルと同組。