なでしこジャパンの高倉麻子監督(49)が16日、オランダで開催される女子欧州選手権の視察のため、羽田空港を出発前に取材に応じた。

 現地では、日本サッカー協会の今井純子女子委員長とともに4試合を観戦予定。「(FIFAランク2位の)ドイツや力をつけているフランス、スペイン、FIFAランクの上がっているイングランドといった欧州の強豪を見てくる」と、現在の世界のレベルを確認するという。

 その後、4カ国対抗の国際親善試合を予定している、なでしこジャパンの米国遠征のため、オランダから米シアトルに直接向かう。同遠征でFIFAランク6位の日本は、27日に同8位のブラジル、30日に同7位のオーストラリア、8月3日に同1位の米国と対戦(いずれも現地時間)。過密日程の中、強豪との試合が続くが、高倉監督は「2勝1分け。いや3勝」と、全勝を目標に掲げた。

 今回の米国遠征にはGK斉藤彩佳(25=仙台)とDF坂本理保(25=長野)、MF櫨(はじ)まどか(29=伊賀)、FW泊志穂(27=長野)の4人を代表に初招集した。「選手を試しながら、コンディションを見て、この前もやった3バックも試合で試したい」と、選手の選考だけでなく、システムも含めて、2年後の女子W杯、3年後の東京五輪へ最善の道を探していくという。

 それでも指揮官は、特に必要としているポジションを問われると「全部です。センターバックもサイドバックもボランチもセンターフォワードも…。世界と戦っていくには、すべてのポジションで、もう1つ上を目指してほしい。これは私からの選手へのメッセージ」と、真剣な表情で話した。現状、代表に選ばれ続けているからといって、先発で出場し続けているからといって、けっして“安泰”ではないと、選手は肝に銘じてほしいという考えだ。

 “安泰”ではない各選手の危機感が、チーム内の競争を激しくさせ、それがチーム力の強化につながる。「(監督就任から)1年経ったし、チームとして勝ち方を身に着けたい」。今回の視察と遠征で、自身も1つ上のレベルを目指すことを誓っていた。