【コルカタ(インド)16日=岡崎悠利】U-17(17歳以下)W杯インド大会で日本は今日17日、決勝トーナメント1回戦で欧州予選準優勝のイングランドと対戦する。マンチェスターUでプレーするMFゴメスらタレント軍団に対し、日本は培ってきたポゼッション(ボール支配率)重視のサッカーで真っ向勝負。A代表のハリルホジッチ監督が疑問視する戦い方だが、FW久保建英(16)とMF平川怜(17)の東京ユースコンビを中心に強国の牙城を崩してみせる。ドイツが8強に一番乗りした。

 掲げてきたポゼッションスタイルの真価が問われる時がきた。日本の1次リーグの平均ボール支配率は61・3%。敗れたフランス戦も相手を上回り、戦術の浸透度を示した。試合会場近くでの前日練習を終え、ボランチ平川はイングランド戦に向けて「個の質はトップクラス。組織で戦いたい」と言い切った。最終ラインとのパス回しで久保ら前線のスペースを見つけ出す司令塔。芝のはげが目立つピッチ、高温多湿の厳しい環境でも、強国相手にスタイルを貫くつもりだ。

 相手は身長180センチを超える選手が大半で、スピードと激しいフィジカルバトルを武器に試合を制圧。日本とは対照的なやり方で同様に61・0%の支配率を誇った。「柔」と「剛」。持ち味を生かした方が主導権を握る。マンUのゴメスらタレント軍団を向こうに回し、前日会見で森山監督は「市場価値で言えば200億対10億くらい。だが足し算ではないところがサッカー」と闘志を燃やした。

 A代表のハリルホジッチ監督はポゼッション重視の日本のスタイルに強い疑問を投げかけ、デュエル(決闘、ボールの奪い合い)至上主義を説いた。だが森山監督は「状況に応じて的確な判断ができる選手がそろっている。組織的なところで勝負する」と、このチームの強みに胸を張る。

 最終調整で選手たちは敷地内を徘徊(はいかい)する野犬も気にとめず、ボール回しでは笑顔も見せた。発足から2年半。久保が「連係で助け合えるチームだし、それを出さないと勝てない」と語るように成熟度は高まった。体格差を埋める“日本らしいサッカー”で欧州の巨人に立ち向かう。

 ◆ハリルホジッチ監督の演説 9月28日の代表発表会見で約18分間、日本サッカーのポゼッション重視のスタイルについて疑問を呈した。直前の欧州CLでパリサンジェルマンがBミュンヘン戦で、ボール保持率とシュート数で相手を下回ったもののデュエルで圧倒して3-0で快勝。この試合を例に挙げ「相手よりボールを持ったからといって、勝てるとは限りません」と熱弁した。