清水は神戸に競り勝ち、3月8日の開幕戦以来、10試合ぶりの白星を挙げた。前半14分にMFデューク(24)の加入後初ゴールで先制。オウンゴールで1度は同点とされるも、後半25分にFW大前元紀(25)が直接FKを決めて勝ち越した。不動のエースが今季初の2試合連続ゴールをマークし、アウェーで今季初勝利。リーグ戦9試合勝ちなしと苦しい状況を経験したチームが浮上のきっかけをつかんだ。

 10試合ぶりの勝利を呼び込んだのはやはりエースだった。1-1で迎えた後半25分、ゴール中央からやや左の位置で獲得したFKに、FW大前は「自信があった」と集中力を研ぎ澄ませた。ボールをセットすると、短い助走から振り上げ、相手の壁の頭上を越えてゴール左隅へ。「完璧なコース」と自画自賛した決勝点を見届け、歓喜のガッツポーズを見せた。

 魂を込めたFKは相手との駆け引きに勝った1発だった。大前はボールを置いた後に1度助走を始めたが、蹴る直前にやり直した。「壁がどうジャンプするかを見ていた」。神戸のGK山本は08年から5年間清水でチームメートだったこともあり「特徴も分かっていた。壁を越えれば入ると思った」と、決めるイメージはできていた。

 実は前節の鳥栖戦からスパイクを赤からオレンジに変更。チーム始動から何度も試行錯誤を繰り返し、ミリ単位でフィット感にこだわった“勝負靴”だ。メーカーからの要望でチームカラーになったというが、偶然にも新スパイクになってから今季初の2試合連続ゴール。この日のゴールで、早くも昨季の得点数に並んだ。

 大前は「今日の勝利を無駄にしないために次もホームでしっかり勝ちたい」。苦しい時でもチームを引っ張り、結果を残してきたエースが巻き返しへの道しるべを示した。【神谷亮磨】