仙台と山形が、今日27日のナビスコ杯1次リーグ第6節で激突する。アウェーの山形は26日、山形県総合運動公園で今季2度目の東北ダービーに向けた紅白戦を行い、DF瀬川和樹(25)が主力組の左ウイングバックで出場。今季初先発する可能性が高まった。群馬から移籍1年目で、額のほくろがトレードマーク。この日の練習では鮮やかなボレーシュートを披露するなど存在感を示した。

 山形の「黒い弾丸」が東北ダービーで大暴れだ! 今季公式戦初出場に燃える瀬川の左足が火を噴いた。紅白戦後のセットプレー練習。CKをダイレクトボレーでネットに突き刺した。「たまってるものがある。それをピッチに出したい。(ボレーは)うまく出来過ぎた。明日にとっておきたかった」。淡々と話す瀬川の浅黒く日焼けした額には、1センチ強のほくろが光っていた。

 力強いドリブルが売りだ。178センチ、68キロの体で左サイドをゴリゴリ駆け上がっていく姿は、まさに「弾丸」。縦への推進力が評価され、J2群馬から今季移籍してきた。入団後は額のほくろをトレードマークに、同じ広島出身の石崎監督から親しみを込めて「ほぐろ」と呼ばれるなど、いじられキャラとしてチームにとけ込む。

 だが開幕後、定位置の確保には失敗した。「悔しい。もっとアピールして監督が悩むぐらいじゃないと」。MFボムヨンやルーキーDF高木利に競り負け、3、4月はメンバー入りすらできなかった。

 逆境を支えたのが「何苦楚」精神だった。国士舘大1年時に、父からもらった手紙に書いてあった言葉。試合に出られなくても、普段の練習からくさることなく、居残りでの走り込みやシュート練習に精を出した。そして今月20日のナビスコ杯川崎F戦で初のベンチ入りを果たした。

 チャンスは必ず生かす。23日のリーグ神戸戦から8人を入れ替えて臨む東北ダービーは、勝てばチーム初の決勝トーナメントに前進する大事な一戦。デビューするには最高の舞台だ。「アシストよりゴールが欲しい。ほくろとプレー、両方でアピールしたい」。モンテディオの弾丸、瀬川がついにベールを脱ぐ。【高橋洋平】

 ◆瀬川和樹(せがわ・かずき)1990年(平2)4月25日生まれ、広島県三次市出身。国士舘大から13年にJ2群馬入団。55試合に出場し4得点。15年に山形へ完全移籍した。178センチ、68キロ。利き足は左。