11年ぶりに復活した年間王者決定戦、Jリーグチャンピオンシップが今日28日、開幕する。3チームのトーナメント形式で行われる今回は、初戦の準決勝で第1ステージ優勝、年間勝ち点2位の浦和と、年間勝ち点3位のG大阪が対戦。浦和はタイトルを懸けた試合で何度も煮え湯を飲まされた、最大のライバルとの大一番に、定例だった前日の戦術練習をあえて“封印”して臨む。

 決戦前日の27日。浦和は試合前日のルーティンである、11対11のハーフコートゲームを行わないまま、ピッチ中央に輪をつくった。ペトロビッチ監督(58)の言葉に、掛け声で応じると、そのまま解散した。司令塔のMF柏木は、真っ先にロッカールームへ直行。DF槙野らは、シュート練習などを居残りで行った。

 ペトロビッチ監督は「昨日の練習が非常に良かったので、いいイメージを持ったまま試合に臨ませたい」と意図を説明した。チームは大一番を前にすると、やや「かかりすぎ」になる傾向もある。試合前日でも、球際で激しく体をぶつけ合うのが浦和の練習場の風物詩だが、今回はリラックスに努めさせた。

 年間王者への道のりは過酷だ。準決勝は前後半90分を終えて同点なら延長、それでも決まらなければPK戦までもつれ込む。同じ一発勝負のJ1昇格プレーオフが、90分で同点ならリーグ戦勝ち点上位チームが勝ち抜きになるのとは違う。

 勝利に120分+αを要すれば、中3日の広島との決勝第1戦、そこから中2日の同第2戦を、重い疲労を抱えて戦わなければならない。ファンを魅了する「国内最高峰のプレー」が担保される方式か、やや疑問も残るところだが、もうやるしかない。万全の準備を終えた同監督は「あとは幸運を」と腹をくくった。【塩畑大輔】