藤枝東(プリンス)が、清水桜が丘(プリンス)との激戦を5-3で制し、11年ぶりの優勝を飾った。2度のリードを追いつかれる展開になったが、延長後半10分、MF平尾拳士朗(3年)が左足で決勝点を挙げた。8月7日開幕の全国総体(三重)でも頂点を狙う。

 西日が差し込み始めたエコパスタジアムに、藤枝東イレブンの笑顔が広がった。互いがゴールを奪い合う乱打戦を制し、抱き合って歓喜の声を上げた。

 決勝弾は、延長戦終了間際の同後半10分に決まった。MF平尾拳がドリブルで持ち上がると、ゴール右45度で切り返し、左足を振り抜いた。ボールはニアサイドのゴールネットへ。粘る清水桜が丘を振り切る1発で、「GKの逆を取れました。いいコースに飛んでくれました」。同ロスタイムには、食い下がる相手のDFライン裏をついて、FW井上燎哉(3年)がダメ押し弾を決めた。

 延長後半開始前。平尾拳は、スタッフの1人から「お前がキーマンだぞ」と言葉をかけられた。相手は、疲れからプレスの強度が下がり、スペースが生まれていたからだ。平尾拳はドリブルのチャンスととらえ、決勝弾もシュート前の切り返しで2人をかわした。「粘り勝てて良かったです。体力には自信があります」。

 チームは先制を許しながらも後半5、6分にMF坂本康汰(2年)が得点して逆転。その後に追いつかれ、DF平出海(3年)のゴールで勝ち越し。しかし、再び同点にされて延長戦に突入した。流れが二転三転とする試合展開に、小林公平監督(33)は「疲れました」と苦笑いした。

 選手たちの奮起は、ワールドカップ(W杯)ロシア大会日本代表で同校OBの長谷部誠(34=フランクフルト)が後押ししていた。この日朝、届いたメッセージを指揮官が読み上げた。「小林監督を男にしてやってくれ。僕もW杯頑張ってきます」。長谷部の1年後輩で男になった小林監督も「W杯に向けて、優勝が(長谷部の)弾みになると思います」と言った。

 全国総体でも磨き上げたサッカーを披露するつもりだ。指揮官は「(大会を通じ)失点が多い。守備を整理します」と言い、平尾拳は「つなぐスタイルで、目標は全国優勝です」と言った。1971年(昭46)以来47年ぶりの日本一へ。W杯を戦う先輩を励みに、イレブンは精進を続ける。【古地真隆】