サガン鳥栖のマッシモ・フィッカデンティ監督(50)は、Jリーグ6戦目の川崎フロンターレ戦でもノーゴールに終わった、元スペイン代表FWフェルナンドトーレス(34)について「すぐにチームの課題を救うのは難しい。チームメートを理解する段階だろう」と語り、長い目で見ていく考えを示した。

 トーレスが加入して6戦目、鹿島アントラーズから加入したFW金崎夢生(29)が5戦目で、ここ3試合は2勝1分けと結果が出ている。トーレス加入後で見ても2勝2分け2敗と、4月から5月にかけて、泥沼の7連敗をした時から見てチームは復調している。トーレスと金崎の守備に与える影響について聞かれると、同監督は「シーズン初めから同じことを言っているが、今季はけが人が多く、アタッカー4人がケガをして手術をしている。選手、監督として長い経験があるが、同じような経験をしたことがない状況に陥っている」と、故障者が多かったことが不調の最大の要因だったと強調した。

 その上で「2人はパーソナリティーが強く、いち早くチームに溶け込もうとしている。もし、残留したいなら1試合3、4点失点したら話にならない。しっかり守るところから始めている。もちろん、前線から前がかりになれば失点もするし、引いて守ればゴールは決められない。今は、良いバランスが取れて3試合、いい結果が出ている。我々が進んでいく道は、これだと思う」と、トーレスと金崎の2トップで今後も行く考えを示した。

 加入したばかりのトーレスと金崎の先発起用を続ける一方で、6月に韓国Kリーグの蔚山現代から復帰したFW豊田陽平と東京五輪世代期待のFW田川亨介(19)と、鳥栖のサッカーを知る2人のFWは、川崎F戦はベンチ入りで終わった。交代枠も1つ、残したままだった。

 質疑応答で「2トップへの評価。途中から来た新しい選手を使う考えもあれば、豊田や田川ら元々いた選手との組み合わせもあるのでは?」と聞かれると、フィッカデンティ監督は「豊田も韓国から戻ってきて1カ月強…彼も特殊なサッカーから戻り、やっと鳥栖に帰り、謙虚にチームを助けてくれている。田川も日本のサッカー界にとっては面白味のある存在」と豊田と田川を評した。その上で「金崎とトーレスは経験と強さ、クオリティがある。チームが上手くいくならこのまま続けないといけない。他の選手にもチャンスはあるだろう」と、トーレスと金崎が攻撃の主軸だという考えを重ねて示した。

 そして「トーレスにとって、日本は難しいだろう。戦術、距離感が違うところでやるのは難しいと理解できる。金崎は徐々に良くなって、勝利につながるプレーをしている。チームのために犠牲心を持って戦ってくれたと思う。今、チームが持っている状況を抜け出すには犠牲心、チームを助けることを考えないといけない。2人ともそこを理解してやってくれている」とトーレスと金崎への絶対的な信頼を除かせた。

 試合については、川崎Fにシュート数2対25と圧倒されながら、アウェーで勝ち点1を拾い「今日の試合もしっかり戦った。選手が大事な勝ち点1を、しっかり取ったことを褒めたい。我々の順位にいるチームが、ホームに勝ち点を持って帰ることが出来るのは、いいシグナル」と前向きに語った。【村上幸将】