ルヴァン杯の優勝を機に湘南ベルマーレがビッグクラブへの扉を開いた。クラブは今年4月、パーソナルトレーニング事業を展開するRIZAP(ライザップ)グループの傘下に入った。優勝をスタジアムで見届けた同社の瀬戸健社長は、目標の20年よりも2年早く“結果にコミット”したことに「最高に感動した1日。ありがとうございますの一言」と喜んだ。クラブのトレーニング施設や、回復やリハビリのための施設の設置を計画していることを明かし、手狭になっているクラブハウスを新設する案も挙げ、ハード面でのサポートを約束した。

ライザップは20年までの3年間で湘南に10億円の出資を決定している。既に瀬戸社長は曹貴裁監督や選手とコミュニケーションを取り「チームが強くなるために必要なもの」をともに考えているという。「やりたかったけどできなかったことの背中を押したい。未来のために必要なもので考えていければ」と話した。

ハード面だけではない。現在の湘南のチーム人件費は浦和の3分の1程度。16年にはDF遠藤航(現シントトロイデン)、MF永木亮太(現鹿島)ら6人の主力が移籍し、J2に降格した過去がある。クラブ幹部はかつて「他クラブの7割程度の年俸しか提示できなかった」と苦悩を口にしていた。だが、今後は有望な選手をクラブに残すための“資金力”を得ることになる。育成した選手が移籍してJ2降格する「負の連鎖」にピリオドを打つことが可能になった。

湘南の真壁潔会長は「湘南が上がってきた階段が、これから1段の蹴り上げが大きくなる」と期待する。また、ライザップの瀬戸社長は、曹貴裁監督の手腕を高く評価し「ぜひ、20年まで続けてもらいたい」と続投を要請した。【岩田千代巳】