青森山田のMFバスケス・バイロン(3年)が「カズ魂」を宿らせた。FWカズ(三浦知良、51)がJ2横浜FCとプロ34年目シーズンの契約更新を発表した11日午前11時11分、バイロンは横浜FCの練習場で最終調整を行っていた。カズがグアム自主トレ中のため対面はならなかったが、背番号11、ドリブルの突破力、強烈な左足のキック力など共通点も多い。

バイロンはチリ国籍で、9歳で日本に移住。日本代表時代のカズのプレーは映像でしか見たことはないが「日本のレジェンド」と尊敬する。「50歳以上になってもプロとしてプレーができるのは、ケガをしないからでもある。ケアの時間に1日3、4時間を使うと聞いた。プロ選手としての時間の使い方を、特に若手と呼ばれるうちから参考にしないといけない手本だと思います」。卒業後は東北社会人リーグ1部のいわきFC(福島)入団が内定。外国人枠扱いのためJリーグクラブ入りはかなわなかったが、体形成やトレーニング法などの研究、実践に力を入れている同クラブへの入団はプラスに考えている。「チームを強くしてJリーグ入りを目指すことも1つ。個人としても強い体を作って、いずれはヨーロッパなど海外のクラブでプレーしたい。チリ代表としてW杯に出場することも目標の1つです」。今大会初戦となった草津東(滋賀)との3回戦では、後半34分に右サイドからドリブルで切り込み、ニアサイドに蹴りこんだ左足豪快弾を含む1得点2アシスト。惜しくも2位で終わった今季のプレミアリーグEASTでの活躍を含め、全国舞台でも実力を発揮している。

「準決勝東北対決」は、58大会ぶり2度目。1都道府県1代表制になってからは初となる。尚志(福島)戦に向け「サイド攻撃がお互いのストロングポイント。右サイドを任される自分の活躍は勝負に直結する」と役割を担う。優勝した2大会前の選手権は、守備面の甘さもあってメンバー外。「準決勝までは来たけれど、まだ何も成し遂げていない。カズ選手と同じ練習場をそう簡単には使わせてもらえないし、こういう機会に感謝しつつ、選手権のピッチで100%のプレーを見せたい。あと2試合、この仲間と一緒に戦って、日本一で終わりたい」と闘志を燃やした。

準決勝が行われる埼玉スタジアムは、悔しい思い出しか残っていない。小6の新明サッカースポーツ少年団時代に埼玉県選抜に選出され、同会場で行われた国際大会決勝に進出。後半から出場も「1度だけ会場を沸かせるプレーができたのですが、泣いて終わりましたね」。6年ぶりとなる“聖地”。リベンジに向け「地元なので楽しみです」と笑った。【鎌田直秀】