最下位のジュビロ磐田は、サガン鳥栖との“J2降格圏対決”で勝てなかった。常に先手を許す展開の中、FWルキアン(28)のJ初得点などで2度追いついたが、2-2の引き分けに終わった。ホームのヤマハでは9戦勝ちなし(3分け6敗)となり、J1残留がまた遠のいた。

   ◇   ◇   ◇

絶対に勝ち点3が必要な試合でも、磐田は勝てなかった。後半ロスタイム。MFアダイウトン(28)のボレーシュートが枠を外れ、スタンドの歓声がため息に変わった。J1残留を争う鳥栖との直接対決。終盤の攻撃も実らず、同点のまま試合終了の笛が鳴った。

選手はその場にしゃがみ込み、FWルキアンは頭を抱えた。フェルナンド・フベロ監督(45)も「引き分けに持ち込んだ。我々は成長しているし、確実に勝ち点3に近づいている。ただ、引き分けはうれしい結果ではない」と悔やんだ。

待望の瞬間もかすんだ。0-1の前半ロスタイム。右クロスをルキアンが頭で合わせ、ネットを揺らした。「息子からも『早く点を取って』と口酸っぱく言われていた。初ゴールはうれしかった」。だが後半22分に2点目を失うと、反撃もアダイウトンのオーバーヘッド弾止まり。ブラジル人助っ人のJ初得点さえも、最下位のチームを変える効果はなかった。

2週間後の次節は、清水との「静岡ダービー」。敗れれば、他チームの結果次第で2度目のJ2降格が決まる可能性も浮上した。ルキアンは「可能性がある限り諦めない。今日の1点が最後のゴールにならないように、次も決めたい」。ゲーム主将のDF大井健太郎(35)も「100%以上の力を出せる状態にもっていけるように、しっかり準備したい」と言った。

残り5試合。残されたわずかな希望をつなぐ準備をするしかない。【前田和哉】