史上初3度目のアジアの頂点には届かなかった。浦和レッズがアルヒラル(サウジアラビア)に0-2で敗れ、2戦合計0-3で2年ぶりの優勝を逃した。

9日に敵地で行われた第1戦(リヤド)を0-1で落とし、後半途中まで均衡を保ちながら得点機をうかがったが、29分に痛恨のアウェーゴールを献上。ロスタイムに、とどめを刺された。初の準優勝に終わり、12月11日に開幕するクラブW杯カタール大会の出場権を逃した。

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3度目の決勝で初めて笑顔を奪われた。槙野はあおむけにぶっ倒れ、興梠は立ちつくす。まずは延長戦に持ち込む1-0狙いの手堅さも「前半(24分の好機)に取れていれば。選手を導いてあげられなかった」と大槻監督が責任を背負い込んだように、チームとして1点が遠かった。ACL決勝でアウェー初戦を落としたチームの逆転例はなし。ジンクスは5万8109人を集めた聖地埼玉でも打ち破れず、金吹雪を譲った。

0-0の後半29分、息の根を止められた。自陣左サイドでカリジョに関根が吹き飛ばされ、最後はS・ドサリ弾。2年前は計2-1で破った相手にリベンジされた。槙野が「体力も技術もかなり上回られた。久々のコテンパン」と白旗を上げた通り、今夏の南米選手権で準優勝したペルー代表カリジョ、サウジアラビア代表8人を擁す砂漠の王者に歯が立たず。ロスタイムには2点目。完敗だった。

過去の決勝トーナメント(T)初戦黒星は4度すべて第2戦で逆転も、神通力は途切れた。傷だらけの1年、最後に力尽きた。準々決勝の上海上港戦は右足首捻挫と左足打撲の興梠が2発。準決勝の広州恒大戦は鈴木大が右足薬指骨折と腰のヘルニア再発を隠して強行出場。「アドレナリンも神経には効かない」という中で2戦とも完封し、日本勢が決勝Tで7戦全敗だった広州恒大を撃破した。歴史は塗り替えたが、決勝で無情の結末が待っていた。

日本勢が決勝で敗れたのは5度目で初めて。東アジア勢の8連覇、17年浦和と18年鹿島に続く日の丸3連覇も夢と消えた。タイトルを逃し、残すは残留争い中のリーグ戦。J2降格を防ぐことだけが最終目標になってしまった。【木下淳】