北海道コンサドーレ札幌は川崎フロンターレに1-2で敗れ、最終節を勝利で飾れなかった。順位は10位に落ち、2年連続1ケタフィニッシュを逃した。

前半1分の今季最速失点から2連続ゴールを奪われ、1点差に詰め寄るも逆転できなかった。ルヴァン杯準優勝でクラブ初の快挙もあったミハイロ・ペトロビッチ監督(62)体制2年目が終わり、続投が決まっている来季は「大きな衝撃を与えたい」と“ミシャショック”を予告した。

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札幌の19年シーズンは喜びで締めくくることはできなかった。開始13分での2失点が痛かった。ルヴァン杯決勝で120分を互角に戦い、PK戦の末に敗れ、リーグ戦未勝利の相手へのリベンジの夢は断たれた。ペトロビッチ監督は「来てくれた人たちのためにも最後追いつきたかったが、できなかったことは残念」と惜しんだ。

クラブ史上J1最高4位で初のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場まであと1歩だった昨季と比べれば、リーグ戦順位2年ぶり2ケタは物足りなさがある。だが、総得点は昨季より6点増で、得失点差を初めてプラスの5で終えた。「超攻撃的サッカー」を掲げているチームとして、数字で残せた部分もあった。

クラブとしての進化の象徴が、20年ぶりの日本代表選手の誕生だった。今年はMF鈴木、菅、DF進藤が招集された。タイ代表、韓国代表も抱えるチームにとっては、全体での練習不足や本人の疲労や調整不足にも悩まされた。カップ戦にも力を入れた結果、連戦をこなさざるを得ない選手もいた。層が決して厚くなくても、トップクラブの宿命を背負い、戦ってきた。

内容で上回ってもゴールや勝ち星に届かないもどかしい時期に、鈴木は「『自分たちがJリーグでNO・1だ』とか『恐れることが一番の敵だ』と常に言ってくれ、すごく自信を持てた」と、監督の言葉を励みに信じて取り組んだ。チームとしての熟成度には伸びしろを感じさせ、今季は来季への序章と予感させる。

そんなミシャ体制2年目を終え、指揮官の構想には、すでに1月にタイでスタートするキャンプ初日が描かれている。「守備でアグレッシブにマンツーマンで奪いにいくのも今のモダンなサッカー。そのためには走って切り替えて戦わなければならないので、初日の練習から取り組んでいく」。試合後のセレモニーではサポーターに約束した。「来年は3年目ということで、大きな衝撃を与えたい。それを楽しみに過ごしてもらいたい」と宣言した。初タイトル、ACL…クラブが見たことのない景色を、見せてくれるはずだ。【保坂果那】

○…試合後は19年シーズンのラストセレモニーが実施された。今年の節目出場選手の表彰やシーズンを振り返る約10分の映像が流され、イレブンからは笑顔もあふれた。来年の新ユニホームも発表され、原点回帰となる赤黒の縦縞となった。ルヴァン杯決勝まで進んだシーズンに野々村芳和社長(47)は「来年も変わることを恐れず変わっていけるようにクラブ、選手が努力していきたい」とあいさつした。