青森山田(EAST代表)は名古屋U18(WEST代表)との東西横綱対決を3-2で制し、3年ぶり2度目の日本一をつかんだ。前半12分にFW田中翔太(3年)が先制し、同27分にMF後藤健太(3年)が加点。一時同点に追いつかれたが、後半17分にMF松木玖生(くりゅう、1年)が決勝ゴールを奪い、30日に開幕する全国高校サッカー選手権2連覇へ勢いをつけた。

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スーパー1年生が試合を決めた。2-2で迎えた後半17分、松木は相手DFがはね返したこぼれ球を拾い、ペナルティーエリアに侵入。すぐにシュートを打たず、落ち着いて切り返すと、DFの股を通してゴール右隅に流し込んだ。「右足でシュートもあったが、たまたま(コースが)空いていたので、切り返して左足で打った」と利き足でフィニッシュ。「ああいう場面は(相手の)股が開く感覚がある」と瞬時に分析し実行した。

前半終了間際には、決めれば3-0という場面で、シュートを外した。「さすがにヤバイ。これで負けたらどうしようと思ったが、いい切り替えになり、メンタルを強く持てた。プレミア(EAST)でゴールが少なかったので、絶対に決めてやるという気持ちだった」。ハーフタイムに黒田剛監督(49)から「ふかさず低いシュートを打て」の指示を受け、グラウンダーの一撃で見事に応えた。

青森山田中では16、17年に全国中学総体優勝、18年は準優勝を経験し、今春入学した。1年生ながら高校年代最高峰のプレミアリーグEAST18試合で16戦(先発15)に出場し2ゴール。2位の柏U18に勝ち点9差をつけての独走優勝に貢献した。さらにOBの神戸MF郷家友太(20)、札幌MF檀崎竜孔(りく、19)やMF武田英寿(3年)ら歴代の背番号10も着用した7番を付け、次期エースの期待も背負う。

黒田監督はファイナルを振り返り「『成長率で(J)クラブを上回ろう』をテーマにやってきた。高校サッカー代表として優勝できてうれしい。勝つための方程式を自覚して貫き通してくれた」とチームを称賛した。30日に開幕する全国高校サッカー選手権では、連覇を目指し来年1月2日に米子北(鳥取)と初戦を戦う。前回、チャンピオンシップ(現ファイナル)を制した16年には同選手権で初優勝し、2冠を達成した。「今は負ける気がしない。いいチーム状況」と松木。2度目の2冠に向けて視界良好だ。【山田愛斗】