J1ベガルタ仙台は20日、仙台市内で会見し、同日付でMF道渕諒平(26)との契約を解除したと発表した。

この日発売の週刊誌で知人女性への暴行とともに、9月7日に傷害容疑で逮捕されていたと報じられた。逮捕について事実が確認できていないというが、掲載された記事内容などがおおむね事実であり、クラブが認知していなかった事実もあるとし、契約解除に至った。ヴァンフォーレ甲府時代の2017年にも別の知人女性を殴るなどの暴行容疑で逮捕。不起訴処分となりクラブから出場停止処分を受けていた。

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仙台が週刊誌での暴行が報じられた主力MF道渕との契約を解除した。報道を受けて会見を開き、菊池秀逸社長が冒頭、「当クラブ所属選手が関わる記事が掲載され、ファン、サポーターや株主、スポンサー、Jリーグにご迷惑、ご心配をおかけしたことを深くおわび申し上げます。女性に対しても深くおわびしたいです」と陳謝した。

クラブは2カ月以上前の8月14日には、相手女性の関係者からの連絡で、トラブルを認識していたという。選手本人から事情聴取し、その後、双方の弁護士による話し合いが続いていたというが、プライバシーに関わり、双方が公表を望んでいない中で、選手として通常と違う行動を取れば事案が公になるかもしれないとの判断もあり、0-0で引き分けた同15日のホームの清水エスパルス戦に道渕を途中出場させている。しかし、警察の捜査の進展を見守った方がいいとの判断に変わり、同18日から自宅待機に。同日、Jリーグに報告した。

選手の弁護士によると、9月5日に示談が成立。同7日午前に警察に任意同行され、同日午後に釈放。菊池社長によると重い処分を科し「2度と同様の過ちをしない」との誓約書を書かせた上で、「示談が成立し、釈放されたので練習に復帰させた」。同8日からチームに合流。以降、事実を公にはせず、この日の報道と契約解除までに、道渕はリーグ戦9試合中7試合に出場していた。クラブによると逮捕の事実は確認できていないという。

コロナ禍で経営危機に直面し、20年度の決算見込みは6億6400万円の赤字で、3億円超の債務超過に陥る見通し。「クラブを存続していくために」とサポーターにクラウドファンディングでの協力を求めている苦境。肝心の成績も現在リーグ13戦勝ちなしで、勝ち点13(2勝7分け13敗)の17位と低迷。そこに、今季13試合1得点の主力のトラブルが週刊誌で発覚し、契約解除という流れ。Jリーグのクラブにとって、19日に選手の酒気帯び運転などが発覚したJ2アルビレックス新潟に続く、2日連続の選手の契約解除発表となった。

<道渕のプレーと問題の経緯(クラブ発表による)>

▼8月8日 神戸戦(ノエスタ)ベンチ外。

▽8月9~10日 女性とトラブル。

▽14日 相手女性の関係者から連絡を受け、クラブが事案を把握。事情聴取。

▼15日 清水戦(ユアスタ)途中出場し29分プレー。

▽18日以降 自宅待機させ、Jリーグに報告。

▼23日 C大阪戦(ヤンマー)ベンチ外。

▼29日 広島戦(Eスタ)ベンチ外。

▼9月5日 G大阪戦(ユアスタ)ベンチ外。

▽同日 示談が成立。

▽7日 警察に任意同行された。同日午後に釈放。

▽8日 練習に復帰。

▼9日 鹿島戦(カシマ)ベンチ外。

▼13日 大分戦(ユアスタ)ベンチ外。

▼20日 東京戦(味スタ)途中出場し15分プレー。

▼23日 横浜戦(日産ス)途中出場し45分プレー。

▼27日 C大阪戦(ユアスタ)フル出場。

▼10月3日 札幌戦(札幌ド)先発し81分プレー。

▼10日 川崎F戦(等々力)フル出場。

▼14日 横浜FC戦(ユアスタ)先発し87分プレー。

▼18日 浦和戦(埼玉)先発し73分プレー。

▽20日 週刊誌報道。クラブは契約解除発表。

○…会見に同席した渡辺取締役は女性への謝罪について、「契約主である私たちが謝罪することは女性の心の状態を配慮すれば、直接の謝罪は控えた方がいいと考えています」とした。菊池社長はじめフロントは、今後自身らの処分について検討するという。