首位川崎フロンターレは浦和レッズに引き分けた。同時刻キックオフで開催された2位横浜F・マリノス-ガンバ大阪で横浜が敗れたため、2年連続で4試合を残してのJ1制覇が決まった。 就任5季目の鬼木達監督(47)は、17年のクラブ初タイトルから4度目のJ1制覇。日本代表の森保一監督(53)らを抜いて、歴代最多優勝監督となった。

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今季の川崎Fにおける最も大きな出来事は、MF三笘と田中の同時移籍だった。前半戦で独走状態だったチームは飛車角級の2人を欠いて失速し、東京五輪後は公式戦9戦3勝と苦しんだ。一方で、今夏の補強は三笘と同じ左ウイングのFWマルシーニョただ1人。そこには選手の成長を願うチームの思いがあった。

クラブはシーズン当初から、今夏の2人の移籍を想定していたという。だが、竹内強化本部長は鬼木監督らと話し合い、「(田中が抜ける)中盤は現有勢力で戦って、(三笘が抜ける)前を少し補強しよう」との結論に至った。「あんまりポンポン連れてきても、それはそれで、今いる選手への変なメッセージにつながっちゃう。適正な競争を維持したい」(竹内氏)。

その期待に最も応えたのが、大卒新人のMF橘田だ。アンカーと呼ばれる中盤の底に君臨し、持ち前の激しさと運動量で相手のチャンスの芽をことごとく刈り取った。プロ2年目のFW宮城も、後半ロスタイムの得点で逆転勝利に導くなどチームを救った。

ピンチはチャンス。竹内氏は「(2人の移籍後は)一度戦力が落ちるというか違った形になる中で、伸びしろ期間として夏が良い機会なのかな」と考えていたという。あえて補強しないことで、現有戦力の成長を促す。このように若手が伸びる土壌について、主将DF谷口は「出て結果を残さないと、次から次に選手がいるわけで、成長を待つ時間はこのチームにはない。勝ちながら競争することにこだわっているので、数々の試合でヒーローが出てきて頼もしかった」と振り返る。主力の同時移籍という最大の危機を、内から湧き出る力で乗り切ったシーズンだった。【杉山理紗】

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