セレッソ大阪は19日、J1リーグ戦で歴代最多得点記録(191点)を持つ元日本代表のFW大久保嘉人(39)が、今季限りで現役引退することを発表した。

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大久保の母・千里さんはこの日、小倉の自宅で仏壇に手を合わせた。長く闘病生活を送っていた父克博さんは13年5月13日に61歳で他界。「天狗(てんぐ)になるな、努力をしろ」-。幼い頃からそう言い続け、愛息をプロに育てた人だった。電話で引退報告を受けたという千里さんは、声を震わせながらこう話した。

「つい1週間前まではもう1年やるものと思っていましたから、涙が止まりません。お父さんは言葉はないけれど、残念がるでしょうね。でもこんなに活躍して、楽しませてくれた。本人にまた1年やってくれとは、もう言えないです」

決して裕福ではなく、家族5人で住んでいたのは家賃数千円で間取り3Kの町営住宅。酒が好きな父は、どんなに借金がふくらんでも息子が履くスパイクだけは一番高価なものを買ってくれた。プロになって稼ぐのは、親子の夢だった。

J1歴代最多得点の中でどうしても取りたかったゴールがある。川崎F時代の13年、父が亡くなる前日に決めたC大阪戦の2得点だ。父は得点の知らせを聞いて息を引き取った。今でも大久保は試合になると右手に緑色の腕時計を着けて会場入りする。それは父の形見。残り試合、1点でも多く-。天国の父へ、ゴールを伝えたい。【益子浩一】

◆大久保嘉人(おおくぼ・よしと)1982年(昭57)6月9日、福岡県生まれ。国見から01年C大阪入り。07年以降は神戸、川崎Fなどに所属。2度の海外移籍も経験。川崎Fで13年から3年連続得点王。J1通算474試合191得点。日本代表として04年アテネ五輪、10、14年W杯に出場。国際Aマッチ通算60試合6得点。170センチ、73キロ。