北海道コンサドーレ札幌は敵地で名古屋グランパスを2-0で下し、今季リーグ戦初勝利&クラブJ1通算100勝目を達成した。途中出場のFW中島大嘉(19)が1-0の後半18分、ヘディングで3試合ぶり今季2ゴール目を奪い、勝利を決定づけた。0-5で今季初黒星を喫した6日の前節鳥栖戦から中3日。チームのFW陣の離脱が続くなか、高卒2年目が救世主として存在感を見せている。

【詳細スコア】名古屋-札幌

中島が飛んだ。後半4分にFKからMF宮沢が先制点を奪い1点リードの同16分に投入された。その2分後だった。名古屋が古巣のMF青木からのクロスに頭で合わせた。相手GKランゲラックの股を抜いたシュートは、ゴールに吸い込まれた。今季リーグ戦2点目。開幕から6戦連続ドローののち、前節は0-5の大敗。「自分がゴールを決めてチームの勝利に貢献できたのはすごくうれしい」。安堵(あんど)に似た喜びだった。

予感と自信があった。前日9日、札幌から敵地入りした。ホテルの自室に入ると、天井に止まっていたテントウ虫を見つけた。幸運を知らせる吉兆に、頭の中ではサッカーゲーム「イナズマイレブン」の逆転勝利時のBGMが流れた。「俺、イケるわ」と活躍を確信。想定どおりだったため「『せやろ』って感じです」といたずらっぽく笑った。

サポーター間ではインターネットを中心に「和製ハーランド」と話題になっている。2日浦和戦でのスピードと迫力あるプレーから、ドルトムントのノルウェー代表FWを引き合いに注目されつつある。プレー集の動画が「めっちゃバズっているらしい」と中島。だが、喜びとともにわき起こる闘争心。「うれしいけど、和製何とかは自分は嫌。『地球製中島大嘉』って言われるように頑張ろうって思った」。ナンバーワンでオンリーワンな存在になろうと必死だ。

FW興梠が8日に右膝内側半月板損傷の手術を受けたことがこの日クラブから発表された。全治は2~3カ月の見込みで、FW小柏も右太もも裏肉離れで別メニュー中。チームにとってはFW陣連続離脱の危機だが、中島がいる。「2人には早く帰って来て欲しいが、誰が点を取る? ってなった時、俺やろって責任感や使命感が強くなっている」。クラブにとって節目の勝利をもたらした19歳が、スタメン奪取を狙う姿は頼もしい。【保坂果那】

▽今季初勝利&クラブJ1通算100勝目を達成したペトロビッチ監督(64) ようやく8節目で達成できたのはうれしいこと。まさかここまでかかると思っていなかった。苦しいなかでつかんだのは価値のあること。

○…クラブ一筋15年目のMF宮沢主将が先制ゴールを決めた。後半4分、DF福森のFKに飛び込み、頭で合わせた。2季ぶりの1発で勝利への勢いをチームに与えた。J2時代も知る在籍最長選手として「本当はもうちょっと早くこの100勝を達成したかった。降格を争ったチームがここ数年J1に定着できている。気を抜けば(J2に)逆戻り。先のことを考えず、目の前の1勝を積み上げていくことにフォーカスしている」と気を引き締めていた。